読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

石つぶて 警視庁二課刑事の残したもの

2017年12月11日 16時14分34秒 | ■読む
清武英利著、講談社刊
本書は、外務省のノンキャリアのエースが犯した犯罪を、警視庁の刑事が暴き遂には詐欺事件で立件し、有罪判決を勝ち取るまでのドキュメントです。主要な登場人物の人物像を掘り下げ、刑事達の地道な取材活動や覚悟を丹念に描いています。著者の正義感と愚直な生き方への一方ならぬ共感を感じました。こうした類いの作品で優れたものは、事実を通して著者の視線を感じるものですが、本書は、それ以上に著者の存在が一貫して立ち上がってきます。それでいて決して鼻につかないのは、著者が警察官達に深い敬意を抱いているためであろうと思います。
本書で指摘した、ノンキャリア一人の犯罪として整理せざるを得なかった事件の背後には、キャリアと政治家の深い闇が横たわっているのだと思います。昨今も政治家を巡る金銭問題が取りざたされていますが、法規制と世間の常識の変化によって、表に出せないお金や不正をカバーする手立てが一層洗練されているため、単純で粗暴な不正行為が中々明るみに出せないのではないかと思います。国家公務員のキャリアの優れた頭脳を、不都合な事実を合法化する理屈や仕組みの創案に使っている例が多くあると思います。人の世であってみれば、世間に知られては困ることは決して無くならない。それを上手く糊塗して大手を振って世間にまかり通ることのないことを願いますが・・・。本書で、自分の存在を掛けてキャリアや政治家の違法行為に対峙した刑事達の奮闘を知りました。
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URL => https://ja.wikipedia.org/wiki/清武英利
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評価は4です。

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