泡坂妻夫著、新潮文庫刊
泡坂さんの著作を初めて読みました。本作は11編から成る短編集で、いずれも下町の職人が登場します。下記のURLによれば、泡坂さんご本人が職人として働く傍ら小説を執筆していたとのことです。読んでいた時はそんなことは知らなかったので、職人の仕事の内容を微に入り細に入り描いており、なんとも作家とは凄いものだと感心しながら読んでいました。ところが、職人の仕事に詳しいのは当然で、逆に職人であると知って見ると、良くこれだけの作品を描くことが出来たものだとビックリしました。
内容が独特です。文章で特に際立った点は感じられませんが、少し説明が足りない位の描き方と、もう少しだけ描いて欲しいと感じる結末の唐突さが特徴でしょうか。読者に考えさせるという習癖は推理小説の作家としてのキャリアによるものでしょうか。
たくさんの女性が登場しますが、それらの女性も一人ひとり考え抜かれた設定です。成る程直木賞を受賞しただけの重みのある作品でした。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/泡坂妻夫
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評価は4です。
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