
南米のチリについて多くを知りません。卑近な例では、葡萄酒と鮭でしょうか。そのチリにあるアタカマ砂漠に世界の天文学者が集い天体を観測しています。高度が高いこの砂漠は湿度が低く大気の揺らぎが少ないので天体観測に適しているとのことです。
また、先住民族の遺物や足跡を辿る考古学者達のフィールドでもあります。
本作品は、ここまでの紹介で、不可解な映像を一部交えた美しい映像と柔らかく美しい男性のナレーションが加わり、詩的な雰囲気で進んでいきます。
天文学者も考古学者を過去を見ているのだと、それぞれの専門家が語ります。そして、もう一つのグループが過去を求めて砂漠を彷徨っている。ピノチェトが軍事クーデターで社会主義政権を倒し、1973年から17年間軍政を行なったが、当初、多くの政敵となる可能性のある人々を虐殺した。その家族が何十年も砂漠の中で、遺骨や遺品を探し求めているのでした。
声高にではなく、淡々と静かに事実を述べる手法に感銘を受けました。
天文学者が目にしている星々の姿は、遠ければ遠いほど、過去に遡って発した光であり、その意味で、彼らは過去を調べている。考古学者も過去の遺物を通して、過去の世界を調べている。砂漠を彷徨う人々は、肉親の存在のよすがとなる遺骨や遺品を求めている。
遺族が「家族をとらえて処刑に関わった人々がすぐ近くにいて知らないふりをしている」と語っていますが、国民は、未だに分断されてままのようです。
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○アマゾンプライム ○光のノスタルジア
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評価は5です。
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〇カメラまかせ 成り行きまかせ 〇カメラまかせ 成り行きまかせその2
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