
石井妙子著、文藝春秋刊
都知事選の直前に本書の発売告知広告を見掛けましたが、都知事選に合わせた真偽不明の暴露本と思い、文春砲のイメージもあって、気にしていませんでした。
最近書評で、本書がしっかりした評伝であるとの記事を読み手にしたところ、著者は以前読んで感銘を受けた「おそめ」の作者である石井さんでした。
一期目の都知事選と都知事に就任した後の、築地市場を巡る大騒動と方針の迷走振り、更に「安全だが安心ではない」という発言にびっくりして、初めて小池さんに不信感を抱いたことも、本書を手にした理由です。
本書では、エジプト在住のある女性の申し出と協力で、小池さんがカイロ大学を主席で卒業したという点を巡って検証することから始まります、
同時に、自身と家庭の問題故に困難な少女時代を送り、エジプトから帰国してからの鮮やかな転身の連続とその後を、順を追って記しています。
私なぞには、政治家を志す人の気持ちが理解出来ませんが、「世に出たい」という自己顕示欲に駆られてしまう人もいるのではないかと思います。
何かを成し遂げたいから政治家を目指したとしても、その後、その志を失う人もいるかもしれません。
ある時、ある政治家に「何故、政治家を志したのか」と丁重にお尋ねしたところ、「初心はあったが、今は渡世だ」とのこと。正直な人だと思いました。
また、ある人物は、力のある人に取り入り、それを後ろ盾に恫喝したり、あることないことで人を陥れたりで、ドラマに登場する人物のようでした。
後に、大失敗してしまいましたが・・・。
本書を読み、そのような人たちの言動を振り返えると、小池さんの言動と通じるものがあり、そうした人物三人を重ね合わせると、本書の小池さんの人物像と重なります。
組織人であれば、意思決定に当たっては、合理性があるか、説明できるか、最適解であるか、リスク評価は適切か、など幾つかの判断基準を総合的に組み合わせて行動しますが、政治家は、別な次元での判断が求められると思います。それでも程度問題があるのではないでしょうか。
本書に記されていることの幾つかは、完全に検証されていませんが、政治家になってからの言動は、確認できます。
成すべき事がないまま、自身の上昇志向を実現する為に行動しているとすれば、世間に害悪を垂れ流していると感じます。
政治家の職業病かもしれませんが。
また、害悪を垂れ流しているワイドショーと、それを見てすっかり信じ込んでいる人が多いことが、本書を読んでも実感できました。
小池さんとワイドショーの共通点は、「公共の場でこれだけ言っているのだから本当なんじゃねー」と思わせてしまうところでしょう。
近いうちに、石井さんの「原節子の真実」も読む予定です。
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○小池百合子 ○石井妙子
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評価は5です。
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