村上龍著、幻冬舎刊
シリーズ2作目です。本作は、前作の世界を用いていますが内容は別物です。CNNの雇われレポーターが、ふとしたことから、日本軍を取材出来ることになりました。敵対する日本軍を取材することによってスクープをものにすることが出来るという野心が実を結ぶのでした。
そして、日本軍のアンダーグラウンドを取材すると、何とも理解不能な状況ばかり。自尊心が人一倍強いアメリカ人のヒロインは、いたく心を傷付けられます。しかし、直ぐに、ミッションへの同行に同意し、連合軍のただ中に突き当たり壮絶な戦闘が始まります。
このヒロインのアメリカ人女性の独善的な世界観が、日本軍の兵士と共に行動するにつれて変化し始めます。同時に、兵士達の考え方や生き方を理解し始めます。私たちは、かつての日本人の末裔であっても、戦後の教育で社会全体の意識や習慣が、欧米の価値観に影響を受け、かつ、中途半端な(覚悟のない)個人主義(利己主義)に陥っていると思います。こうした価値観の変容は、日本文化の形成のパターンかもしれませんが、江戸時代の鎖国期に熟成したような成熟期を迎えることが出来るのでしょうか。それが出来ないとすると、日本の未来は暗いのではないかと思います。
本書では、村上さんが医学知識を租借して、物語の骨格を構成しており、戦闘場面のリアリティと、ヒロインの心理描写の確かさが、作品の質を高めています。
評価は4です。
シリーズ2作目です。本作は、前作の世界を用いていますが内容は別物です。CNNの雇われレポーターが、ふとしたことから、日本軍を取材出来ることになりました。敵対する日本軍を取材することによってスクープをものにすることが出来るという野心が実を結ぶのでした。
そして、日本軍のアンダーグラウンドを取材すると、何とも理解不能な状況ばかり。自尊心が人一倍強いアメリカ人のヒロインは、いたく心を傷付けられます。しかし、直ぐに、ミッションへの同行に同意し、連合軍のただ中に突き当たり壮絶な戦闘が始まります。
このヒロインのアメリカ人女性の独善的な世界観が、日本軍の兵士と共に行動するにつれて変化し始めます。同時に、兵士達の考え方や生き方を理解し始めます。私たちは、かつての日本人の末裔であっても、戦後の教育で社会全体の意識や習慣が、欧米の価値観に影響を受け、かつ、中途半端な(覚悟のない)個人主義(利己主義)に陥っていると思います。こうした価値観の変容は、日本文化の形成のパターンかもしれませんが、江戸時代の鎖国期に熟成したような成熟期を迎えることが出来るのでしょうか。それが出来ないとすると、日本の未来は暗いのではないかと思います。
本書では、村上さんが医学知識を租借して、物語の骨格を構成しており、戦闘場面のリアリティと、ヒロインの心理描写の確かさが、作品の質を高めています。
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