読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

トヨタはどうやってレクサスを創ったのか

2010年04月30日 21時19分28秒 | ■読む
高木晴夫著、ダイヤモンド社刊
大分前のアメリカ映画(あるいはテレビドラマか?)で、殺される金持ちの車がトヨタのセルシオでした。それを見て、この金持ちは中途半端な金持ちなので、セルシオに乗っているのか?、と思っていました。ところが何年かして読んだ本によると、トヨタは、アメリカでセルシオを売るに当たり、アフターサービスに力を入れ、車が故障した際に、ヘリコプターを使って対応した事が話題になり、アメリカでは高級車の定番になっていた事を知りました。
バブル期の日本では、トヨタのレクサスと日産のシーマが登場し、それまでのラインナップとは異なる車種の登場に驚いたものでした。シーマは「下品な程のパワーがある」として人気を集め、セルシオは、圧倒的な静粛性で、マス・プロダクツとしては、究極の完成度である、との評価であったと記憶しています。しかし、日本の高級車が外国で通用するとは思っていなかったので、先のような感想を抱いたのでした。
-----------------------------------------------
URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/レクサス
-----------------------------------------------
さて、本書は、米国では成功したものの、ヨーロッパの高級車の牙城を切り崩せずにいたトヨタが、自らの出自たるマス・プロダクツ故の限界に挑み、レクサスというブランドを立ち上げる、非常に困難な取り組みを紹介したものです。
著者の経歴は下記のURLに示されていますが、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授で、専門は、組織行動学、組織とリーダーシップ、情報組織論とのことです。本書は、レクサスプロジェクトを研究者の視点から書き残してほしいというトヨタからの依頼によるものとの事で、関係者からの詳細な聞き取りをベースにしており、組織と人の働きによって、困難なプロジェクトがどの様な経過を辿って成し遂げられたのかを、臨場感豊かに描いています。
-------------------------------------------------------
URL => http://www.keiotakagi.net/2009/05/post-1.html
-------------------------------------------------------
機械に興味のある私にとって、技術面の解説がほとんど無かったのが残念ですが、組織論としては一級の作品であると思います。特に、キーマンとして活躍した人物が、ある覚悟を以て辞令を受けた下りには心を打たれました。人の思いが組織の出発点である事が納得できる一冊です。
評価は4です。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ふろしきの魅力 | トップ | AKIRA/DVD »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

■読む」カテゴリの最新記事