茨城県近代美術館の展覧会です。明治43年に生まれ、平成9年に87歳で死去されました。出身は熊本県で、東京美術学校(現東京芸大)で日本画を学んだそうです。晩年のインタビューの様子がビデオで流されていたので、見ていますと、お祖父さんとおじさんが画家だったが、ご自分は剣道に熱中していて、画家になる考えはなかったが、進学に際し画家への道を選んだそうです。大変に几帳面でまじめな方で、毎日の日課は犬の散歩と絵の制作、夕刻には剣道の稽古と、実に規則正しい毎日を送っていたとのことでした。
----------------------------------------------------------------------------
URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/浦田正夫
http://www.modernart.museum.ibk.ed.jp/exhibition/kikaku/index.html
----------------------------------------------------------------------------
浦田さんは、戦後の8年間、茨城県の土浦市に住んでおり、後に、その故かこの美術館にご自身の作品を寄付されたとのことです。展覧会のパンフレットをみると、何とも地味な作品のようで、余り期待しないで出掛けたのでした。しかし、本当にビックリしてしまいました。初めの展示作品は、画家が学校時代に描いた風景画で、非常に写実的で日本画らしくない感じがしました。そして、その後の作品群は、描くもののスケッチから、色付けのためのラフ画(ごく小さくラフな線を描き、大まかな彩色を施しています)が並び、構図などが決まったら、それよりもやや大きな紙に縦横に数字をかいて座標を示した格子状のなかに、絵を描き込んでいます。更に、下絵として、作品と同じ大きさの紙に格子の座標を描き、完全な下絵を描き込み、その後に作品を製作しています。創作の構想を練り上げるための多くの下絵の数々が何枚も展示されているのでした。
そうした手法を示した展示作品で、最初のものは牛の絵でした。当時土浦にあった病院に入院中、窓から見える牛を描いたスケッチをみると、お腹がたっぷりとした牛がのんびりと寝そべっている様が実に写実的に描かれています。完成作品ベースでは18点、下絵や制作の記録が200展程展示されていて、圧倒されました。下絵の段階で、どの顔料を使ったのかも、別にきちんと記録されていました。
他の画家も、このような制作手法を取ったのかどうか分かりませんが、その綿密な検討の過程は驚異的です。特に「磯」と「滝」は、最初のスケッチから出発して、対象を単に写実的に描くのではなく、存在そのものをえぐり出して描いているように感じました。恥ずかしながら、こうした制作の過程を知ることなく鑑賞していたら、ごく短時間にあっさりと鑑賞指定してしまったと思いまず。
評価は3です。
----------------------------------------------------------------------------
URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/浦田正夫
http://www.modernart.museum.ibk.ed.jp/exhibition/kikaku/index.html
----------------------------------------------------------------------------
浦田さんは、戦後の8年間、茨城県の土浦市に住んでおり、後に、その故かこの美術館にご自身の作品を寄付されたとのことです。展覧会のパンフレットをみると、何とも地味な作品のようで、余り期待しないで出掛けたのでした。しかし、本当にビックリしてしまいました。初めの展示作品は、画家が学校時代に描いた風景画で、非常に写実的で日本画らしくない感じがしました。そして、その後の作品群は、描くもののスケッチから、色付けのためのラフ画(ごく小さくラフな線を描き、大まかな彩色を施しています)が並び、構図などが決まったら、それよりもやや大きな紙に縦横に数字をかいて座標を示した格子状のなかに、絵を描き込んでいます。更に、下絵として、作品と同じ大きさの紙に格子の座標を描き、完全な下絵を描き込み、その後に作品を製作しています。創作の構想を練り上げるための多くの下絵の数々が何枚も展示されているのでした。
そうした手法を示した展示作品で、最初のものは牛の絵でした。当時土浦にあった病院に入院中、窓から見える牛を描いたスケッチをみると、お腹がたっぷりとした牛がのんびりと寝そべっている様が実に写実的に描かれています。完成作品ベースでは18点、下絵や制作の記録が200展程展示されていて、圧倒されました。下絵の段階で、どの顔料を使ったのかも、別にきちんと記録されていました。
他の画家も、このような制作手法を取ったのかどうか分かりませんが、その綿密な検討の過程は驚異的です。特に「磯」と「滝」は、最初のスケッチから出発して、対象を単に写実的に描くのではなく、存在そのものをえぐり出して描いているように感じました。恥ずかしながら、こうした制作の過程を知ることなく鑑賞していたら、ごく短時間にあっさりと鑑賞指定してしまったと思いまず。
評価は3です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます