米Chrysler-米連邦破産法11条を申請・イタリアFiatとの提携に合意-
(2009/05/01 日経Automotive Technology)
米Chrysler社は4月30日、米連邦破産法11条の適用を申請したと発表した。イタリアFiat社との戦略的提携に合意し、今後、再建手続きを進め、Fiat社と長期存続が可能なスリム化した新会社の設立を目指す。
同時に11条363項についても申請した。Fiat社の合意の下で裁判所から迅速な承認を得ることで、30~60日という短い再建期間で新会社を発足し、新会社にChrysler社の主要資産を売却することが可能となる。破産法適用の対象は米国のChrysler社とその完全子会社24社で、メキシコやカナダ、そのほかの海外事業は対象外となる。
再建期間中のChrysler社の業務は、米国政府から再建企業向けつなぎ融資を受け、通常通り継続する。
保証クレームの対処や、部品メーカーへの支払いも滞りなく実施され、販売店も経営を継続するという。しかし、ほとんどの生産拠点は5月4日から操業を停止する。再開するのは手続きが完了する30~60日後の見込み。また米財務省の支援を受け、米GM社傘下の金融会社であるGMAC社が、販売店向けの長期融資案や顧客向けのローンを提供する。
手続き完了後、任意従業員福利厚生基金(VEBA:Voluntary Employee Beneficiary Association)が新会社の株式55%を取得し、米国とカナダ政府が10%を所有する。Fiat社は当初20%を取得し、次の3つの条件を満たした場合、それぞれの条件に付き5%ずつ、合計15%を追加取得できる。条件は、(1)米国生産モデルに燃費が17km/L(40mpg)以上となるプラットフォームを供与する、(2)米国製Chrysler社製品に低燃費エンジンシリーズを提供する、(3)Chrysler社製品の輸出先を拡大するため、欧州など北米以外の市場の販売網を使用させるという3つ。Fiat社は、米国政府が提供した支援金を返済するまで、新会社の株式を過半数保有することはできない。
新会社は、Chrysler社とFiatグループの互いの生産拠点や部品メーカーを活用し、Fiat社のパワートレーンや部品などをChrysler社の生産拠点で製造するほか、新市場への参入も目指す。
米クライスラー向け債権-日本企業各社で回収不能の恐れ拡大-
(2009/05/01 日経)
米自動車大手クライスラーが連邦破産法11条の適用を申請したことを受け、平田機工やタカタなど取引のある日本企業3社は5月1日、クライスラー向け債権の回収が困難になる恐れがあると発表した。今後、企業数が増加する可能性がある。
生産設備メーカーの平田機工はクライスラー向け売掛債権21億円について、取り立て不能や遅延の恐れが生じたと発表した。現状では支払い遅れはないが、米政府に債権の保証制度の適用を申請していないなど「回収不能のリスクがある」(同社広報室)ため。
シートベルトのタカタ、エンジン用点火コイルのダイヤモンド電機もそれぞれ4億円、3億円の債権が回収できない恐れが出ている。
また、クライスラーと関係を持つ日本の自動車・部品メーカーも対応を急いでいる。日産自動車は車両のOEM(相手先ブランドによる生産)供給計画の見直しに着手する。自動車部品はアイシン精機や曙ブレーキ工業、矢崎総業などに続き、鋳造品を納める日立金属、発電機を供給する三菱電機、ロボットの不二越などが米政府によるクライスラー向け未回収金の保証制度の活用を申請した。
日産とクライスラーは08年に車両のOEM契約で合意。日産が今年後半に小型セダンをクライスラーの南米市場向けに供給するほか、2010年以降には日産が欧米向けに新型の小型車を、クライスラーが北米向けにピックアップトラックを、それぞれ供給する予定だった。
法的整理に入ったクライスラーに続き、今後は経営破綻の懸念が依然根強いGMとの取引も焦点となる。
米クライスラー-08年の純損失が168億ドル・2012年に黒字の見通し?-
(2009/05/05 朝日新聞)
連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した米自動車3位クライスラーが08年に168億4000万ドル(約1兆6700億円)の純損失を出していたことが、裁判所への提出資料で明らかになった。クライスラーが連邦破産裁判所に提出した文書に基づき、米メディアが報じた。
将来も、2012年にようやく黒字化する見通しという。クライスラーは非上場で、決算や業績見通しを公表していなかった。
クライスラーが5月4日提出した資料によると、09年には売上高が前年比で4割弱落ちるが、リストラ費用が減ることなどで純損失は47億3000万ドル(約4700億円)に縮小する。純損失はその後、2010年に8億6000万ドル、2011年は2億7000万ドルとなり、2012年には7000万ドル(約70億円)の純利益を計上する見通し。
また、07年には17億ドル(約1700億円)の資産超過だったが、08年に159億ドル(約1兆5700億円)の債務超過に陥ったことも判明。今後は、倒産処理で債務が減るため、2016年に債務超過から脱する見通しを立てている。
この資料は破産助言会社がクライスラーとともに作成。更生手続きが順調に進み、イタリアの自動車メーカー、フィアットとの提携も効果をあげた場合を想定している。
米GE-DVDと同じ大きさで記憶容量500Gバイトのホログラフィック記録-
(2009/04/29 日経エレクトロニクス)
米General Electric(GE)は,DVDと同じ大きさ(直径12cm)のディスク1枚で500Gバイトの記憶容量を実現できる光ディスクに向けた記録材料を開発,ホログラフィック記録の実験に成功した。記憶容量500Gバイトは単層Blu-ray Disc(BD)の20倍,DVDの約100倍に相当する。
直径が約1μmで,反射率が1%に近いホログラフィック・マークの記録に成功した。BDやDVDと同じように半導体レーザーを使ったシステムで記録と再生が可能である。この技術に基づく光ディスクの記録再生装置では,CDやDVD,BDの再生も可能になる見込み。
今後,製品化に向けた開発を進める。既存の光ディスクの記録方式や製造技術に,今回の技術を適用できるように注力するという。製品化する際は,まずデータのバックアップなどに用いる商用サービスを対象とし,次いで民生市場を狙う。同時に,ディスク1枚で1Tバイト(1000Gバイト)以上のデータを記録できるような,より高密度のホログラフィック記録技術の開発も進めるという。
NEC液晶テクノロジー-裸眼で3D映像を見られる液晶表示装置を量産-
(2009/05/05 日経)
NECの子会社、NEC液晶テクノロジー(川崎市)は2010年春にも3次元(3D)映像を裸眼で見られる液晶ディスプレーを量産する。主力の秋田工場(秋田市)に量産ラインを設置。業務用ゲーム機や工業デザイン設計、医療機関の手術シミュレーションに使うモニター向けに販路を開拓する。
当初の量産サイズは業務用ディスプレーとして需要が大きい12.1型とする見通し。将来は現在EU(欧州連合)などで開発が進められている携帯式3Dテレビ向けに、3.1型などの小型ディスプレーも量産に踏み切る方針。
同社の3D液晶ディスプレーは専用の眼鏡がいらないのが特徴。3D表示用の液晶画素のうえに、光の方向を変える素子を張り合わせた。画面から左目と右目用に異なる情報を送り、裸眼で立体映像を見られる。
通常の3D表示では平面表示に比べて映像のきめ細かさを示す解像度が下がるが、同社は画素配列を変える工夫で、平面表示と同水準の高精細画像を表示できるようにした。
米国を中心にデジタル映写機を使った3D映画の普及が始まり、サムスン電子やソニーなど電機大手も家庭用3D対応テレビの開発も進めている。
ポルシェとフォルクスワーゲン-統合へ-
(2009/05/08 日経)
ドイツの高級スポーツ車メーカー、ポルシェと、同社の子会社で欧州自動車最大手の独フォルクスワーゲン(VW)は6日、統合すると発表した。
統合によって、高級車販売の低迷などで資金繰りが悪化しているポルシェの財務を立て直す狙い。具体的な統合方法などは今後4週間以内に決定する。