マイクロソフト-次期OS「Windows 7」は動作速度や信頼性を向上-
(2009/05/21 日経)
マイクロソフト日本法人は20日、09年秋に開発の完了を予定している新OS「Windows 7」の説明会を都内で開いた。米国時間5日(日本では7日)に一般向けに公開した製品版の一歩手前のバージョン「リリース候補版(RC版)」を使い、Windows 7で導入した新しいユーザーインターフェース(UI)やソフトウエアの互換性を向上するための仕組みなどを解説した。
Windows 7は、「使いやすさ」「動作速度」「信頼性」の3つの向上を目標に開発を進めたという。使いやすさの面では、ソフトウエアのアイコンにマウスをあわせるだけで開いているウィンドウのサムネイルを確認できるようにするなど、タスクバー機能を中心にUIを大きく見直した。デスクトップ上に広げられたたくさんウィンドウを整理しやすくし、目当てのウィンドウを2クリック以内で見つけられるようにしたという。
動作速度の改善では、起動時に必要な処理を軽減することで起動速度の向上を図った。「Windows XP」では起動時に40、「Windows Vista」では61の機能を処理する必要があるが、Windows 7では49に減らした。ほかにもさまざまな処理の軽減を図っており、説明会では同じスペックのパソコンでWindows XPよりも4秒程度起動が高速化することを実演した。
信頼性では、主にソフトウエア互換性の向上への取り組みを説明した。Windows 7では、問題が発生したソフトウエアに対して自動や手動で設定をチューニングして動作するようにする「アプリケーションコンパチビリティツール」をバンドルする。また、Windows XPの仮想環境を使って従来のソフトウエアを動作させる「Windows XP Mode for Windows 7 Pro」も搭載する。これらの仕組みにより、「これまでのソフトウエアの90%以上はWindows 7上で動かせるようになるよう開発を進めている」と、コマーシャルWindows本部の中川哲本部長は述べた。
操作性では画面下の「タスクバー」にカーソルを合わせると、起動中のソフトを画面下に小さく表示して一覧できるなど工夫。地上デジタル放送を視聴できるソフトも標準搭載し、チューナーを組み込むだけで放送を楽しめる。消費電力もVistaに比べ減るという。
米PureDepth-もう一つの「3D方式」ディスプレイを量産へ-
(2009/05/21 日経エレエクトロニクス)
米PureDepthは5月20日,東京都内で記者会見し,東京に09年4月末に日本法人を設立したこと,同社の「MLD(multi-layer display)」技術に基づくディスプレイの特徴および製品化状況,そして想定する市場について説明した。
このMLD技術は,2枚の液晶パネルを一定間隔を隔てて重ねることで,色やコントラストの強調,あるいは映像が飛び出したり,文字や絵などを立体的に表示する3D映像を専用メガネなしで見せるなど,従来の液晶ディスプレイではできなかったさまざまな映像表現を実現するもの。
このうち3D映像は,内容は同じだが明るさや大きさが微妙に異なる映像を前後のパネルに表示することで実現する。これで映像が3Dに見える理由は,まだ明確には分かっていない。それでも,レンチキュラ・レンズを利用した従来の裸眼用3Dディスプレイと比べていくつかのメリットがある。例えば,(1)3D映像を見ることによるめまいや頭痛,目の疲れなどの副作用が起こらない,(2)3Dでも解像度を犠牲にしない,(3)文字などの2次元(2D)映像と3D映像を同時に,しかも組み合わせて表示できる,(4)視域(映像が3Dに見える角度)に明確な境界がない,といった点である。
製品は既にある。例えば,PureDepth社は06年に三洋電機とライセンス契約した。この契約に基づき,三洋電機の子会社である三洋システムソリューションがMLD技術を実装したパネルを製造。パチスロ・メーカーのアビリットなどに採用され,08年11月に発売されたパチスロ製品に搭載された。
ほかには,スロットマシン大手の米International Game Technology社とも06年に提携。スロットマシンとして利用できる20.1型のディスプレイを08年に米ラスベガス市のカジノなどに納入したとする。さらには,やや小型の12.1型ディスプレイが韓国で今週中に量産が始まる。IGT社のディスプレイとこの小型ディスプレイは,韓国Kortek社に製造を委託したものである。
PureDepth社は今後の展開について,携帯型ゲームやスマートフォンへの搭載を目指すとする。「既に,MLD搭載スマートフォンを試作済み」(同社 日本法人 代表取締役の永田豊氏)。また,一般にはデジタル・サイネージとも呼ばれる「公共情報ディスプレイ」にも中期的に参入する計画である。
実はこのMLD技術は,NTTサイバースペース研究所が「1998年に発見し,2000年に発表した」と主張する「Depth Fused 3D(DFD)」方式と酷似する。この方式のパネルは,NTTグループのNTTアイティが日立製作所などと共同で07年に48型など大型のものを製造し,一部の博物館などに展示された例がある。ただし,まだ量産には至っていないと見られる。
一方,PureDepth社は,MLDの基本特許は01年に成立済みと主張する。この特許は同社の前身であるニュージーランドDeep Video Imagingが申請したもの。結果として現在は,両社の特許が並存したままである。PureDepth社は「重要なのは彼ら(NTT)には今,市場に受け入れられている製品がないが,我々にはあるという点」と強調する。
電動アシスト自転車-08年の国内出荷台数が原付きバイクを抜く-
(2009/05/21 朝日新聞)
電動モーターがペダルを踏むのを助ける電動アシスト自転車が「快走」を続けている。08年の国内出荷台数は、50cc以下の原付きバイクを抜いた。ヤマハ発動機が世界で初めて市場に投入して15年余り。
人気のすそ野は性別や年代を超えて広がっている。
自転車店によると、スポーツタイプなどデザインや車種も増え、若い女性や、通勤に使いたいという男性の関心も高いという。
日本自動車工業会や自転車産業振興協会によると、08年の電動自転車の国内出荷台数は、約31万5000台で、不況で落ち込む原付きバイク(約29万5000台)を初めて追い越した。
さらに法改正で昨年12月には、アシスト力を従来の2倍まで高められるように規制が緩和された。景気悪化も追い風だ。燃料費や駐車代を嫌い、自動車やバイクから乗り換える人が増えている。
日本郵便は、リヤカーの付いた電動自転車を06年から導入。現在、127台が集配作業などに使われている。東芝エレベーターも04年から全国で300台近くを保有し、保守点検に利用している。
環境意識の高まりなどから、今後も利用企業は増える見通し。国内トップシェアのパナソニックは「欧米などにも積極的に展開していきたい」と話している。
電動アシスト自転車はリチウムイオン電池などを使い、電動モーターでペダルをこぐのを助ける自転車。
1回の充電にかかる電気代は10円程度で、最長約40キロ走れるタイプが主流。1993年にヤマハ発動機が「PAS」を一部地域で発売したのがはじまり。現在パナソニック、ヤマハ、三洋電機などが手がけている。