松下電器-新社長に大坪専務が昇格・石油温風機問題もけじめ-
(2006/02/24 日経・朝日新聞・毎日新聞)
松下電器産業は23日、中村邦夫社長が代表権のある会長に就き、大坪文雄専務が社長に昇格する人事を内定した。森下洋一会長は相談役に退く。6月28日に開く株主総会後の取締役会で正式に決める。
2000年6月就任の中村社長は大胆なリストラで、低迷していた同社の業績を「V字形回復」させた。経営改革に一定のめどをつけたとして若返りを図る。また、同社は石油温風機の欠陥で一酸化炭素(CO)中毒事故が相次ぎ、2人が死亡した問題で、担当役員2人を降格させるなどの処分を明らかにした。
中村社長は低迷していた事業を立て直すため「破壊と創造」を掲げて事業の再構築に当たった。01年度には創業以来初となる1万3千人もの早期希望退職を募集。人事制度に成果主義的な仕組みを導入して、家族的な経営で知られた松下電器の経営を抜本的に見直した。グループ7社を完全子会社化し、伝統的な事業部制も解体した。また、兄弟会社だった松下電工を連結子会社化するなど経営資源の集約・再編を進めてきた。01年度は4310億円の連結最終赤字だったが、05年度は1300億円の純利益を計上する
見通し。
中村社長は就任後、07年3月期までの中期経営計画で「営業利益率5%達成」を目標に掲げた。07年3月期の業績見通しについて中村社長は「5%達成はめどがたったと確信した」と話した。
後任となる大坪専務は、松下電器の稼ぎ頭である薄型テレビやDVDレコーダーなどの事業を担当。今年6月で就任から6年となる中村社長の有力後継候補と見られていた。大坪専務は記者会見で「着実に収益力をつけ、2010年度には(営業利益率)10%を目指す」と抱負を述べた。
一方、欠陥温風機問題について中村社長は「亡くなった方のご冥福をお祈りするとともに、心からおわび申し上げます」と公の席で初めて謝罪。責任を明らかにするため、冷蔵庫や洗濯機など白物家電事業を担当する林義孝専務と品質担当の大鶴英嗣常務をともに23日付で取締役に降格、中村社長も2月から5カ月間、役員報酬を20%カットする。中村社長は「役員処分などでけじめをつける。社長交代とは関係ない」と述べ、引責辞任との見方を否定した。「今後の成長戦略を進めるには、大坪専務が最も適任と考えた」と交代理由を説明した。
ただ、積み残した課題も少なくない。発行済み株式の52%を保有する日本ビクターの再建。松下電器の海外事業の収益など。国内では人員や生産面で限界まで効率化を図ったのに比べ、「海外はまだ濡れぞうきんの状態」と、ある幹部は話す。
05年世界のPDPテレビ-出荷台数は約590万台・首位はパナソニック-
(2006/02/24 日経エレクトロニクス)
米DisplaySearchは,05年第4四半期におけるPDPテレビの出荷状況を発表した。出荷台数は前年同期比109%増の約227万台で,過去最高を更新した。この結果,05年通期のPDPテレビの出荷台数は約590万台となった。同社は,05年12月の時点で05年の出荷台数を約570万台と予測しており,わずか2カ月前の予測を上回る伸びを示したことになる。
PDPテレビ自体の市場は拡大したものの,テレビの種類別で見たときのシェアは相対的に低下した。液晶テレビが40インチ型~44インチ型という大型分野で前期比300%以上の出荷台数の伸びを示したうえ,50インチ型~54インチ型の分野では,リアプロのシェアが拡大したためである。PDPテレビの平均価格は,前年同期比32%安の2296米ドルになった。
ブランド別のシェアは,上位6つのブランドで全体の83%を占めた。シェア首位は,パナソニックの26%。以下,LG Electronicsの15.4%,Samsung Electronicsの14.4%,Royal Philips Electronics社の13.3%,日立製作所の7.3%と続く。このうちRoyal Philips Electroncisを除く5社は,自社グループ内でPDPを内製するメーカー。
NTTドコモ-第4世代携帯電話で通信速度毎秒2.5Gビットを実現-
(2006/02/24 日刊工業新聞)
NTTドコモは23日、第4世代(4G)携帯電話の屋外実験で最大毎秒2.5Gビットの通信速度(受信の速度)を実現したと発表した。基地局装置から100MHz幅の周波数帯でデータを送信し、時速約20kmで走行している移動局装置で実施した。同様の環境で行った前回の実験(05年5月)では同1GHzを達成していたが、さらに高速化を実現。ただ低速移動時に達成した通信速度であり、商用化は2010年以降と見ている。
実験は神奈川県横須賀市で実施。前回実験に比べ、MIMO多重(複数のアンテナから、異なる信号を同じ周波数で送信する技術)の送受信アンテナ数を4本から6本に増やしたほか、64QAM変調方式(データを送信信号に変換する方式)の採用で1回に送信可能な情報量を4ビットから6ビットに増やし、今回の通信速度を実現した。
KDDIも通信速度が最大毎秒1Gビットの「ウルトラ3G」を2009~2010年に商用化する予定で、今後も速度競争が加速する。
ホンダ-軽自動車の新モデル「ゼスト」発表-
(2006/02/24 日刊工業新聞・日経Automotive Technology)
ホンダは23日、軽乗用車の新モデル「ゼスト」を3月1日に発売すると発表した。同日に国内販売チャンネル「プリモ」「クリオ」「ベルノ」を統合して発足する「ホンダ」チャンネルの第1号となる。価格は103万9500~57万5000円。軽乗用では「ライフ」に続く柱と位置付け、月販5000台を計画する。
同社がミニバン「オデッセイ」「ステップワゴン」に採用している低床プラットフォームを軽自動車へ初めて採用し、全高を1635mmに抑えながらステップワゴン並の室内高を実現したのが特徴。同時にエンジンを小型化し、室内長や荷室長を確保した。また軽自動車としては初めて前後席対応のサイドカーテンエアバッグをオプション設定した。
ゼストのプラットフォームは、ライフを流用した。ボディサイズは、全長3395×全高1635(4輪駆動は1650)×全幅1475mmで、ホイールベースは2420mm。全高のみ、ライフよりも50mm高く、そのほかはライフと同じ。テールゲートの開口部の高さは530mmとライフよりも低くして荷物の出し入れの負荷を軽減した。
また、車高を高くしたことで荷室容量は最大で739Lを確保した。
パワートレーンはライフと同じ。エンジンは直列3気筒の「P07A」で、電子制御4速自動変速機を組み合わせる。最高出力は38kW(52PS)でターボモデルは47kW(64PS)。最大トルクは61N・mで、ターボモデルは93N・m。
多目的用途に対応した「ゼスト」は、現行の「ライフ」が女性向けだった対して、男性まで広げることで家族誰もが使える軽乗用車を目指す。
ホンダ傘下のディーラーで現在、軽自動車を扱っているのはプリモ系列の1489店。しかし3月1日の「ホンダ」チャンネル発足後は、同社が全国に持つ2400拠点すべてで販売する。
原油高の影響-最終製品にも価格転嫁が拡大-
(2006/02/24 日経)
原油高の長期化を受け価格転嫁が最終製品に広がっている。樹脂製の収納ケースやレジ袋は値上げが始まり、砂糖はガソリン代替燃料の需要急増の余波で、卸売価格が今春にも12年ぶりの高値となる見通し。石油製品や樹脂など一部の石油化学製品で先行した転嫁が、消費者に近い製品にも及んできた。ただ、家電や日用品はデフレ圧力が強く、消費財全体から見た影響は今のところ限定的。
原油からできる石化関連製品の値上げは当初、原料・樹脂を除けば、食品・飲料向け包装材・容器や、タイヤなど一部にとどまっていた。その後、度重なるナフサ(粗製ガソリン)、樹脂の価格上昇で、企業は原材料コストの上昇分を合理化で吸収することが難しくなり、その結果、転嫁が最終製品に波及している。