パナソニック-08年度中間期決算は7年連続の増益・下期は厳しい-
(2008/10/29 日経エレクトロニクス・産経新聞・日刊工業新聞・朝日新聞)
パナソニックは08年度中間期(08年4~9月)の決算を発表した。売上高は前年同期比4%減の4兆3437億円,営業利益は同4%増の2282億円となり,7年連続の増益を達成した。07年8月に連結子会社でなくなった日本ビクターの売上高分と為替の影響を除いた実質ベースでは,売上高は同4%増に相当するとしている。増益の要因として,(1)オリンピック商戦が順調に推移し,薄型テレビの販売台数が同55%増の488万台と伸びたこと,(2)BRICsおよびベトナムで家電などの販売額(現地通貨ベース)が同25%増と伸びたこと,(3)原料高騰に対して原価低減策を進めていること,を挙げる。
セグメント別でには,プラズマテレビなどのAV機器を扱う「デジタルAVCネットワーク」部門の売上高は前年同期比2%増の2兆1029億円,営業利益は同7%減の1028億円だった。特に好調だったのは薄型テレビで,欧州やアジア・中国を中心に伸張し,全世界での販売金額は同31%増の5172億円となった。一方,減速感が見えるのがデジタルカメラ。欧州での販売金額は同4%減の545億円となり,全世界でも同2%増の1277億円にとどまった。今後,レンズ交換式のデジタルカメラ「LUMIX DMC-G1」などで販売拡大を狙うとする。減益については,AV機器の価格低下や車載機器の需要低迷の影響があったとする。
セグメントで唯一,増収増益となったのが白物家電などを手掛ける「アプライアンス」部門。売上高は前年同期比3%増の6855億円,営業利益は同26%増の469億円だった。中国で洗濯機の販売金額が前年に比べて1.2倍になるなど,アジアや中国が好調だったとする。エアコンと冷蔵庫,洗濯機の合計販売金額は,アジアが同7%増の611億円,中国が同8%増の567億円。
半導体などの「デバイス」部門の売上高は前年同期比6%減の6702億円,営業利益は同1%減の490億円だった。半導体の売上高が前年を上回るも,北米の自動車減産や国内携帯電話機市場の縮小の影響を受け,一般電子部品や電池などの売上高が伸びなかったとする。
なお,「電工・パナホーム」部門の売上高は前年同期比1%減の9287億円,営業利益は同13%減の358億円,「そのほか」部門の売上高は同10%増の5986億円,営業利益は同18%減の288億円だった。08年7月以降,工場における設備投資が減少しており,FA機器事業の売上高が同11%減の1120億円,営業利益が30%減の153億円と落ち込んだことが影響している。
08年度通期(08年4月~09年3月)の業績について,経営計画を立て直すには数日単位での為替変動が大き過ぎるとして,今回は前回予想を据え置いた。今は「年末商戦の動きを見極める方が大切」(パナソニック 代表取締役社長の大坪文雄氏)として,第3四半期の段階で通年の業績予想について見直すとする。ただし,同社では「下期の環境は厳しい」(大坪氏)と予測しており,これを機に09年度以降に備えた構造改革を進めるとする。具体的には,(1)既に計画通りの設備投資を行うと発表している薄型テレビや電池といった分野以外での設備投資の見直し,(2)海外事業の撤退の検討,(3)不採算事業の見直し,などを挙げる。
海外売上高の拡大を目指すパナソニックは,10月に松下電器産業から社名を変更した。「社名変更を機に,製造部門と販売部門をはじめグループ内で一体感が高まった。(好業績は)社員全員の力で出した結果」(大坪氏)と話した。
また,「金融危機に端を発した経済混乱は,想像以上で経営環境は悪化の一途だが,冷静に受け止めモノづくりの基本に立ち返りたい」(大坪氏)と述べた。
ウィルコム-年末商戦向けに新型PHSを発表-
(2008/10/29 日経・BCN・日刊工業新聞・CNT)
ウィルコムは28日、年末商戦向けの新型PHS4機種と「手書きチャット」など3種類の新サービスを発表した。同社は8月から2カ月連続で解約数が新規契約数を上回る「純減」となるなど苦戦続き。11月以降、新端末と新サービスを順次投入して巻き返しを狙う。
京セラ製「HONEY BEE 2(ハニー・ビー・ツー)」には31万画素のカメラを搭載。東芝製「ウィルコム LU」はスライド方式を採用した。日本無線製「WX330J」は法人向けで防水仕様とした。
新サービスでは、ノートパソコン並みの性能を持つシャープ製スマートフォンを対象に、手書きイラストをリアルタイムで受送信してコミュニケーションできる「手描きチャット」を始める。また、最大7人が同時通話できる「ウィルコム ミーティング」もスタートする。
「手書きチャット」は、新色を追加したシャープ製「ウィルコム 03」など2機種で利用できる。専用ソフトを端末に取り込むと、タッチパネルにペンで入力した手書き文字や写真を相手の端末の画面に遅延なく表示できる。月額利用料は315円(パケット通信料は別)
都内で開催された発表会で土橋匡・副社長は「強かったデータ通信分野で携帯電話の攻勢を受けるなどで、ウィルコムは契約者数の純減が続き今は厳しい状況。しかし、新製品で年末と来春に向けた商戦でのタマは揃った。何とか乗り越えて行きたい」と、意気込みを述べた。
三洋-携帯の画像やメールを表示する家庭用伝言板「ALBO」を発売へ-
(2008/10/29 日経・CNET・Itmedia)
三洋電機コンシューマエレクトロニクスは28日、無線LAN搭載の7型液晶搭載の小型ディスプレー「ALBO」11月14日に発売すると発表した。メール受信機能を備えており、携帯電話などから送った画像付きメールをディスプレーに表示する。価格はオープンで、実売想定価格は4万円前後。月産2000台を見込んでいる。
ALBOはイタリア語で「掲示板」「アルバム」の意味だという。家族で共有して使えるコミュニケーション機器としての利用を想定している。ディスプレー解像度は800×480ドット。
無線LAN通信に対応しており、インターネットからメールを受信したり、RSS形式で提供されているニュースを取得して表示したり、画像共有サイトから画像を取得して表示したりできる。
メール受信機能である「メールdeフォト」では、携帯電話からの画像付きメールを受信すると背景に画像を表示しつつメール本文を前面に表示する。画像なしのメールは、例えば家にいる家族に対して外出先から送ってちょっとした用件を伝えるような用途に使えるという。
メールは受信だけでなく、「ありがとう」「了解しました」などの定型メッセージを送信することもできる。最大で2000件のメールを保存可能。
SDカードやメモリースティック、USBメモリーからの画像や音楽データの読み込みに対応しており、デジタル写真立てとして使うこともできる。携帯電話の赤外線通信から画像を受け取ることもできる。
OSにWindows CE 5.0を採用。ネットワーク経由でファームウェアのアップデートが行える。本体サイズは、210(幅)×208(高さ)×120(奥行き)mm、約690g
側面にはSDHCカードスロット/メモリースティックスロット/USBメモリー対応のUSB端子を備えており、一般的なデジタルフォトフレームとしても利用できる。表示可能なファイル形式はJPEGおよびBMPで、本体を90度回転させて画像の縦横位置を入れ替えることもできる。MP3/WMA/WAVの音声ファイル再生も可能。
利用時には無線LANならびにメールアドレスの設定が必要で、無線LANについてはバッファローのAOSSに対応しているが、メールアドレスは別途取得しておく必要がある。受信したメールは内蔵メモリーへ最大2000件まで保存可能。テンプレートによる返信も行え、テンプレートはPCを利用して編集することもできる。
IrSSを利用して、携帯電話内に保存されている画像を表示させることも可能。
無線LAN端末としてはメール受信のほか、RSSの取得/表示にも対応している。RSSは10までのサイトを登録でき、1サイトあたり100件までのニュース取得が行える。そのほか、「Picasaウェブアルバム」「フォト蔵」にも対応しており、オンラインフォトアルバムにアップされた画像を表示させることもできる。
三洋電機では、ターゲットを30~50代のファミリー層としており、離れて暮らす両親や彼、彼女へのギフトとしても需要を見込んでいる。
ホンダ-減収減益・新興国市場は伸びても為替と欧米市場の減退が影響-
(2008/10/29 日経エレクトロニクス)
ホンダは28日,08年度第2四半期(7月~9月期)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比4.9%減の2兆8268億円,営業利益は同48%減の1488億円だった。
二輪車の販売台数は好調だったものの,急激な為替変動の影響と欧米での自動車(四輪車)の販売台数が大きく減少した。為替換算差を除いて売上高を前年同期と比べた場合,二輪事業で399億円,金融サービス事業で389億円,汎用事業やその他の事業で13億円の増加があったものの,自動車(四輪車)事業で311億円の減少があったとする。実際にはこれに加えて,為替換算の影響により売上高は1937億円減少している。
同社の世界での自動車(四輪車)販売台数は,前年同期比0.2%減の93万5000台だった。同事業の売上高は同7.9%減の2兆1706億円となった。営業利益は同62.9%減の790億円と大きく減少した。
地域別の販売台数で最も落ち込んだのが北米。北米は前年同期比で4万4000台少ない40万1000台だった。米国市場は08年10月に入っても「大型車だけでなく,通常の乗用車も販売台数が落ち込んでいる」(ホンダ副社長の近藤広一氏)とするように景気減退が続いている。同じく欧州も英国とフランス,イタリア,スペインなどで販売台数が減少し,前年同期比で1万3000万台少ない8万7000台だった。
一方,他の地域では前年同期に比べて販売台数が増加した。国内は「フィット」や「フリード」が好調で,前年同期比9000台増となる15万2000台となった。アジアは中国向けが堅調に推移したほか,インドネシアやタイなどで「Jazz(日本名:フィット)」の販売台数が増加し,2万7000台増となる20万4000台だった。その他の地域では,ブラジルやロシアでの販売が好調で,同1万9000台増となる9万1000台となった。
ホンダは急激な為替変動の影響と世界的な景気減退を受け,08年度通期での連結業績の見通しを変更した。売上高を11兆6000億円,営業利益を5500億円と,7月25日に発表した見通しから売上高を5300億円,営業利益を800億円減少させている。同社では下期の為替相場を1米ドル100円,1ユーロ135円で想定している。