サジッタ&清史郎の部屋

相棒3頭と暮らす馬日記

やれやれ・・・

2006-06-01 09:40:30 | コーチとして
少し前の記事でも書いたのですが、先日の全日本学生馬術連盟の総会で来年の全日本学生馬術大会から馬場の予選種目がセントジョージ賞典馬場に、上位10頭で行なわれる決勝競技がキュア(自由演技)となるそうです。

これは明治・日大などのように高校時代から国体や全日本ジュニア大会などに出場している経験者をスポーツ推薦で募集できる大学であれば対応可能なことですが(対応とは、得点率で50%後半から60%前半の演技を出来る、の意味です。ただ経路を廻って45%前後の意味ではないです)、初心者の部員を集め、軽速歩から訓練しなければならない大半の大学馬術部にとっては競技会から出て行けと言われている事に等しいです。
(只し、現実は中国・四国から参加した人馬は昨年も50%に届いていないから、現状は変らない)

仮にセントジョージクラスの調教が出来ている馬を購入して来たとしましょう。馬が居ればぶら下って競技に参加することは可能ですが、二蹄跡運動や収縮ということを理解できない選手が無理をして競技に出てくることを推奨しているようなものです。

学生賞典馬場課目は最近の10年で難易度が2回上がることになります。
10年前は馬場馬術第4課目と同等の難易度でした。それが5年前?に3湾曲で中央線上で行なっていた踏歩変換が斜線上での4歩毎の踏歩変換3回に変り、難易度はグッと上昇しました。そして今回がセントジョージです。
セントジョージとなりますと、踏歩変換は3歩毎・4歩毎がそれぞれ5回と駈歩での半ピールエット、駈歩での横歩も中央線に向かって斜線上左手前~Xで踏歩変換~斜線上右手前~蹄跡で踏歩変換ですので、難易度は一気に2ランク以上上昇です。

中国・四国学生に所属の馬術部で見てみますと、セントジョージに対応できる馬は昨年の国体馬が提供された岡大に2頭居るだけです。
広島工大の馬もセントジョージは厳しいし、我広大にはセントジョージクラスの馬は居ません。
島根大は指導者の方の持ち馬には居ますから、それを譲渡してもらえれば馬は何とかなるにしても・・・選手が対応できるかどうか。

体操・水泳・フィギュアスケート・・・・。大学のトップ選手は間違いなく国を代表する選手です。
今回の難易度UPの背景には、大学馬術部の現役選手からオリンピック選手を輩出させたいという連盟首脳の考え方が反映されてのことでしょう。しかし、30代になれば体力がついていかなくなるスポーツと違い、馬術の場合は経験の蓄積が大きく物緒言うスポーツです。オリンピックに出すだけで満足なのか・・・???
参加することに意義がある・・選手は派遣しない方向にJOCの方針は変わりつつあるはずです。

全日本学生大会の難易度UPは本当の意味でのレベルUPに繋がるのか・・・。競技の難易度について行けない選手が、優秀な馬にぶら下って出場してくる光景が日本全国で起こらないことを願うばかりです。

(注)
地方の学生連盟が全日本大会の予選種目に何の課目を採用するかは別の問題です。従来どおりの課目でも良いはずで、それは中国・四国学生の幹事会で協議する事でしょう。

ただし・・・ですね、競技のレベルが非常に上がって、正直言って指導している学生が対応しにくい状態になったことと、馬場馬術から撤退することは別問題です。
自分が担当する馬は、学生大会の競技レベルが如何であれセントジョージ課目までは調教しますし、学生にも連続踏歩変換を要求します。
しかし、出来・不出来がハッキリし易い連続踏歩変換に目を奪われがちですが、正しい駈歩半ピルーエットが出来る収縮状態に馬を維持するには、正しい座りが不可欠です。
今のように上級生になって課目に対応させるような指導では到底出来ることではありません。1年生の時から3年後にはセントジョージに対応させるのだ、との明確な意思でもって指導する必要があります。
それには優秀な練習馬が必要だし(調教が完成した競技レベルに通用する)、学生にも熱意だけでなくセンスも要求されます。

何にせよ、馬も人も充分でない地方大学には辛い現実です。ま、諦めては居ませんが・・・。
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2 コメント

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nothing (nothing)
2006-06-01 21:04:08
http://www.juef.jp/pdf/alljapan/h17alljapandress2.pdf
成績表の添付、ありがとうございます (庄原TRF)
2006-06-01 21:33:02
一つ訂正。

昨年中国・四国学生から出場の2頭の内1頭は50%を越えていたようです。失礼しました。

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