サジッタ&清史郎の部屋

相棒3頭と暮らす馬日記

ハミを軽くしようとしては駄目!!-2

2006-01-04 20:08:07 | コーチとして
昨年の5月から10月いっぱいまでサクセスに係わって勉強させていただいたのですが、乗って経験したこと以外にサクセスに同行して競技会に行き、素晴らしいトレーナーの下乗りを間近に見ることが出来たのは幸せでした。

そこで最も大きな衝撃を受け、サクセスに決定的に欠如していると感じたのは中俣さんがグアデループやイリキリアンに乗っておられる状態に接したことです。それは強烈なコンタクトで小勒を押す馬のハミです。小勒手綱がピーンと張ってガチッとハミを噛み、グイグイハミを押しているのです。大勒はダラ~ッと緩めて、だけど強烈に坐骨を張り、グイグイ推進しながらハミと後駆の連携をまとめる様乗っておられた。そんな状態の馬は速歩でイレギュラーすることなど決してありません。

ハミは当然重いでしょうし、そんな馬に乗り切るためには強い坐骨の推進と人間の背中の張りが必要です。体重思いっきり後駆に移して踏ん張っていないと、手綱ごと持っていかれることは必至です。
方や私がやっていたことは、馬が自得的な態勢でハミに出て行ってくれないから、必至で脚を使い、足らなければ長鞭の力を借りて馬をハミに追い出していたのです。速歩運動だけではハミに追い出すことが出来ず、駈歩運動でしっかりと走らせて、ある意味ハミに掛かっていく状態を作らなければ推進力の無いHさんが乗って演技できる状態にならなかった訳です。
セントジョージクラスを要求する馬ですから、しっかり4肢にバランスしていて低伸してくれないといけないのですが、結局最後まで鼻ずらが地面を舐めるような首をしっかり伸ばす状態にはならないままコンビは解消でした。

水勒でしっかりと低伸でき、そのバランスから水勒で収縮状態に持ち込むバランスになっていないのに、競技に合わせて大勒を装着し、無理やり馬を詰めて起こしたことの弊害は必ず馬体に出ます。サクセスも国体時には背中が限界で、鞍壷辺りを指で押えると引っくり返りそうになるくらい辛い状態でした。

話が横道に逸れていますが、軽いハミは収縮の極限で得られるものです。実際に乗っていないのでハミの感覚は判りませんが、11月の全日本馬場グランプリ競技の馬達から軽やかなハミ受けを感じたでしょうか?
M笠君は如何だったでしょうか?
私はしっかり全身全霊で推進して、推進によって得られるバランスバックで馬をまとめておられたように感じました。

国内の国体レベルくらいに出てくる馬は、ハミは決して軽くないと思います。
私が尊敬するプロ・トレーナーの下田さんは、下乗り段階でかなり馬を左右に引っ張りまわすと言うか、猛烈な側方屈倒っを馬に強いる乗り方です。何故あそこまでやらねばならないのか・・・。
それは坐骨の張り、騎座・脚が未熟なライダーが乗り代わっても、演技も含めて15分程の間はハミに強く出て行かないで、バランスバックした態勢を維持する、いわば麻薬注射のような乗り方なのです。だからそのまま30分未熟なライダーに乗せていて御覧なさいな、その内段発は消えうせて、ペタペタ歩く馬が出現しますよ。

さてさて、話があちこちに飛びまくりですが、M笠君の質問で、

1.飲める状態とは・・・体調が良くて美味しいツマミがある状態、或いはMKさんのような楽しいお友達が身近に居る時。(ゴメン、変換ミスで思わず遊んでしまいました。スージ~、M成さんによろしくね~)正しくは、のめる状態は?

私の見解では、馬体の4肢にバランスが加重していなくて、前肢側に倒れている状態。名前は判りませんが、漫才のあるある探検隊の左側のお兄ちゃんの体制で、馬体が開いてしまっている状態でしょうか。
つっかい棒を外すと引っくり返ってしまう状態を〔のめった状態〕と捉えています。
でもこれはM笠君ほどの技術があれば、二蹄跡運動に持ち込むことで簡単に解消できます。

2.アンキーは脚をプッシュするなと・・・

完璧なバランスの馬に完璧な騎座で座れば、推進の必要は無いでしょう。テレパシーで馬は動く、少し締め付けて体全体でリズムを取れば馬はパッサージュを始めるでしょう。
でもアンキーが脚でプッシュしていないかな? トンでも無い話ですよね。体全体で猛烈な推進をしていますよ。もしも私たちがアンキーやイザベルの馬に乗ったらどうなるでしょうか? 馬は根が生えたように地面に立ち尽くしているだけでは?

物は例えですが、彼女のお尻には端子が付いているのです。そして馬の背中にも、端子を接続できる受けがあって、乗ったら『カッチ』とはめ込んでいるのです。そして騎手の体から発生した信号はバンバン馬に流れている。農耕民族の我々には付属していないパーツです。

3.外方ハミの強さ

限りなく強くコンタクトしてください。人間の力には限界がありますから、大丈夫です。ただし、首の柔軟性が得られていないと外方の肩が抜けます。
首の柔軟性があれば、逆に内方は限りなくカラにしても大丈夫。でも内方脚で真直姿勢を維持することを忘れないで。

4.巻き込みは悪ではない?

これは、ハミをしっかり押していれば、垂直線上よりも鼻ずらが内に入っていてもバランスバックして、後駆は活発に動くでしょう。後駆とハミのバランスを判断してくれる審判員に当たれば大幅な減点はされないかも知れませんが、基本的にショートネックでは勝ち馬にはなれません。
幾ら後駆が活発に動いていても、ショートネックには7点以上は存在しない(場合によっては6点以上かもしれませんよ)だから、オリンピック・世界選手権レベルでは欠点のある馬として敬遠されるでしょう。
基本的な問題として、ショートネックは駄目です。

20年近く前の話ですが、当時の日馬連審判長の西村喬さんが、ヨーロッパで高名な審判員に巻き込む馬に対する対処法を聞いたところ、『直らないから馬を変えるほうが良いです。』と言われたそうな・・・。ま、そんなところ。
(もしかしたら側対歩になり易い馬の対処法だったかもしれません・・・。間違っていたらゴメンンなさい。)

では、今回はこれまで・・・。
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1 コメント

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ありがとうございます (M笠)
2006-01-06 01:02:45
中俣さんについてのくだりなど、まさに僕の知りたい事と言うか、感じたいことなんですね。

知らないわけじゃない、けどこれだ!と思えるまでには至らない。百聞は一見にしかずの言葉通り、中俣さん程のライダーを目にすれば、きっと氷解するんだろうな。



当たり前かもしれませんが、いまだ色々な見解に目新しさを感じます。自分自身それを歯痒くも感じ、あるいは乗馬を続けるためのモチベーションにもなり得ているのかなと思っています。

今まで感覚に頼ってきた部分を、これからはいかに系統立てて考えていけるか。それが課題ですね。



何にせよ馬あっての馬術。馬本来の活発な動きこそ究極、かな。

T中もありがとねー。
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