人生の謎学

―― あるいは、瞑想と世界

怪僧ラスプーチン

2008-08-20 00:07:13 | 伝奇集
■グレゴリー・ラスプーチンは、正規の教育はほとんど受けませんでしたが、子供の頃から並外れた記憶力を持ち、不思議な能力を発揮したといいます。彼は一度読んだだけで聖書の内容を暗記できたり、馬の足の傷口に手を当てるだけで治癒したりするなど、さまざまな逸話が残されています。

ラスプーチンの驚異的な記憶力ついては、私に比較的最近のトピックスを連想させます。――やはりロシア人で、イメージを駆使して記憶力をめざましく強化した男が実在します。彼は見慣れた日常的な風景を思い浮かべながら、与えられた項目をイメージに置換していくやり方で、結果的にほとんど無限大の記憶力を誇るまでになり、その記憶を何年間も保持しつづけたといいます。しかしながら、彼は結局、一度記憶した内容を決して忘れることができなくなり、あらゆることをイメージに変換する特殊な能力のゆえに、ごく普通の文章でさえ理解するのに、はなはだ困難が伴ったといいます。それぞれの単語が個別に独立したイメージとして生起するため、文章の全体としての理解が不可能になるのです。

――さてラスプーチンは1903年、皇帝ニコライ2世と皇后アレクサンドラのあいだに今後一年以内に後継者が生まれる、という予言をおこないました。この予言は的中し、翌年8月12日に皇太子が誕生し、アレクセイと命名されます。ペテルブルグに上京したラスプーチンは、神学大学校のフェオファンの紹介により、やがて宮廷に出入りするようになり、こうして〈神の人〉として皇后アレクサンドラに紹介されたラスプーチンは、5年11月1日、ついに皇帝ニコライ2世に謁見します。
血友病を患っていた皇太子アレクセイは、3歳のとき転んで怪我をし、それが急速に悪化します。取り乱した皇后に託されて、ラスプーチンが祈祷を施すと、皇太子の病状はにわかに回復しました。このことがあって、ラスプーチンは皇后からの絶大なる信頼を得るようになり、しだいにロシア皇室の中枢部にくいこんでいきます。この異能者の人生の絶頂期です。


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