心の旅

やわらぎ住宅(株)の社長によるブログ。

朝礼での学び 「義と利他」

2012年02月13日 | 仕事
理念経営のすすめ 三浦 祐成氏 「生き残るために必要な、たった3つのこと」より


 世界には、大きく分けて三つの正義に対する考え方があるとマイケル・サンデル教授は言います。

 まず一つ目の功利主義は、「より多くの人がより多くの快楽とより少ない苦痛を得ること」を幸福とします。個人が自分の幸福のために「欲求と利己心」を追求すれば結果的に社会全体が豊かになるという考え方です。個人が金持ちになりたいと利己的に動くほど、GDPが増え、社会全体が幸福になるという、経済成長期にあった価値観です。




 二つ目のリベラリズムは個人主義的自由主義が基本で、一時米国や日本で流行った「市場原理主義」(=規制緩和や民営化を基本とする小さな政府志向)がその行き着いた先です。米国は市場原理主義によって成長を実現し経済的には幸福になりましたが、個人も企業も利己的になりすぎた結果サブプライムローン問題を起こし、今もその傷は癒えていません。




 そして三つ目、サンデル教授の問いは、利己的・個人主義で人が幸せになれるのか、ということでしょう。「人が本当に求めているもの、それを得て満足できるものが善であり、それを追求するのが正義だ」。これがサンデル教授の立場です。この考え方は、利己的に経済的豊かさを求める風潮に疑問を感じていた多くの人たちの心に響いたのではないでしょうか。



 サンデル教授のこうした考え方は、古くから東アジアにあったものです。特に儒教には徳を基本とする「義」=正義とする考え方があり、また、利己の反語としての「利他」(=他人を利すること)が「徳」であるという考え方も根付いていました。日本を含めたアジアにはサンデル教授の考え方をすんなり受け入れる土壌があったと言えます。

 今の世界をみますと、功利主義やリベラリズムの考え方も今の時代には、通用しないというか、その弊害の方が多くなっているような気がします。



 では、何故、通用しなくなったのでしょうか?
一つは、人口、環境、科学技術、産業の発展によるもの余りから来る「成長⇒非成長」、いま一つは、「自分さえよければ」の反動から「個よりも全体重視」の方向へと日本だけではなく、全世界が移っていっています。




 今のわれわれは、経済的豊かさがいらないというのではなく、モノサシにならないということです。

 そうすると何がモノサシになるかと言いますとそれは、「いかにわれわれが心を満たされて生活できるか」です。

 とすると、サンデル教授が言うように「人が本当に求めているもの、それを得て満足できるものが善であり、それを追求するのが正義である」という考え方には、大いに共感します。


 
 これだけ、人びとが自由になり、社会が複雑化、多様化してきたなら、何が善で、何が正義なのかということも、多様性を持ってきますね。

 そうしますと、組織運営や社会を維持するのには、理念とか哲学が不可欠のような気がしている今日この頃です。