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日本の失業給付率は最低

2009年03月26日 | 経済一般

世界的な不況の中、各国で失業率が高まっている。失業したときに重要になってくるのが失業保険だ。国際労働機関が調査したところ、日本の失業給付の需給率は先進国で最低であることが判った。毎日新聞の記事より。

【ジュネーブ澤田克己】国際労働機関(ILO)は24日、経済危機が雇用に与えた影響についての調査報告書を発表し、失業手当を受給できない失業者の割合が日本は77%で、先進国中最悪の水準にあると指摘した。2番目に悪い水準のカナダと米国(同率の57%)を大きく上回っているとしている。

他の先進国は、英国40%、フランス18%、ドイツ13%で、日本は受給できない人の割合が際立って多い。

日本の場合、失業手当受給に必要な保険料納付期間(1年)の制約のために受給できていない非正規雇用労働者が多いことなどが反映したとみられる。

報告書は特に、日米カナダの3国を列挙して「受給要件が(他国より)厳しいため、手当を受け取っていない失業者が半数を超えている」と指摘した。

失業手当を受給していない失業者の人数は、米国630万人、日本210万人、英国80万人、カナダ70万人、仏独がそれぞれ40万人で、人数でも日米が突出している。

また、先進7カ国で、今年初めまでの12カ月間に失業した人の数は、米国が410万人でもっとも多く、日本は2番目で29万人、3番目がカナダの20万7000人だった。

一方、途上国では、都市部だけで制度が運用されている中国で、都市部の失業者の57%が手当を受け取れていない。全国規模に換算すると84%近くが受給できていないと推定された。ブラジルも、失業者の93%が手当を受けていないという

日本がいかにセイフティーネットの構築を疎かにしてきたかがわかるニュースだ。生活保護の補足率が本来受給している必要のある人の20パーセントに過ぎないということからもわかるように日本においては最底辺の階層に対する保護が不十分である。戦後、福祉を企業と家族に押し付け、最低保障の制度の構築を軽視してきたことのツケが見事に出ている形だ。その一方で、や在日、公務員や大企業で働く女性などの一部の特権階級に対しては信じがたいほどの予算を割いてきた。

日本以外の国においても、大なり小なり階層分化が起こりそれが社会問題化している。大陸ヨーロッパにおいては未だに労働組合の力が強く、はじめの就職に時間がかかり若年失業率が高いままだ。しかし、日本の場合階層分化が正社員と非正社員という形で非常に不合理な形で、それも解決することなく拡大し続けているという点で非常に深刻である。中国もまた都市民と農民との身分制格差が、建前上は消滅してきていることになっているが、現実問題としてはいまだに非常に大きく絶対的な差があることを上のデータは表しているだろう。各国共に、不公平な移動の制限による階層分化に対処していく必要があるようだ。

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