車輪を再発見する人のブログ

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場当たり的経済政策の失敗

2009年03月29日 | 経済学

サブプライムローンバブルの崩壊に発する景気後退が世界を襲っている。アメリカが受けたダメージは大きくそれに対処するために、アメリカ政府は金融システムの安定化のためにすでに3000億ドル以上を支出し、オバマ大統領は7200億ドル規模の景気対策を準備しているという。一方で、カリフォルニア州においては不景気による財政危機によって2万6000人にも上る教職員を解雇せざるをえない状況に追い込まれている。

財政難にあえぐカリフォルニア州の教育当局はこのほど、2万6000人にも及ぶ公立学校の教職員に「ピンクスリップ」と呼ばれる解雇予告を手渡した。長期にわたる好景気を謳歌(おうか)したカリフォルニアは、今や失業率が10%を超え、民間労働者にとどまらず教職員の職までが危うくなるなど、一転して「残酷物語」の舞台に変貌(へんぼう)しつつある。(産経ニュースより)

本当に効果があるのか怪しい景気対策が議論される一方で、国民生活や国家の未来に直結するサービスに対する予算が削減されるのはちぐはぐに感じる。このようなことが起こるのは、景気対策などの議論においては少しでも効果がありそうならやろうという方向に議論が向きやすく、経費削減や予算削減の必要があると切れるところから切ろうとしてしまうからである。一方では、国民生活に必要かどうかも考えずに支出し、他方では国民生活にどれだけ負担になるかを考えずに切ってしまう。そんな、場当たり的な政策が失敗している例だろう。

日本でも、景気対策のための贈与税減税が議論されているが、そのような政策が所得分配や国民生活に与える影響も考慮した上で考える必要があるのではないだろうか。株価対策として配当課税が現在されていた時もあったが、株価対策が必要だとしてもそれが全体の政策として本当に有効かを考える必要があるだろう。地方自治体の財政事情の悪化も重なり、生活保護の条件の厳格化や失業給付の削減を一方で進めながら、上のような政策を取ることは全体として歪んでいるのではないだろうか。

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