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カレーなる日々 / शानदार दिन

インドの日常を中心に日々を綴っています。

「還らざる聖域」樋口明雄

2025年04月07日 21時32分59秒 | 本 / BOOKS

屋久島を題材にした小説を捜していて見つけた作品。
2023年発行の樋口明雄の小説。

林芙美子の「浮雲」は屋久島滞在時に書かれたものであるが、
屋久島を題材にしたわけだはなく。
物語が終結したのが屋久島だっただけである。
屋久島の良さと言うか特徴に重きを置かれていなかったので、
読み終わった時に物足りなさが残った。

この小説は良かった。

この小説は屋久島を題材にしており、
ほとんどが屋久島で起こった事であり、
私が訪れた屋久島の特徴がそのまま描かれており、
読みながら記憶がよみがえってきた。

舞台が屋久島でなければならなかった、
屋久島でなければ成り立たなかった、
(他にあるのかもしれないけど)
屋久島を書いた小説の中で一番だろう。

前置きが長くなったが、
すごくいい! と思える小説だった。

何の罪もない屋久島が突然、事件に巻き込まれる。
それも大掛かりで組織的で、時代を変えるような、
世界の一部を巻き込んだ大事件。

日本の近くにある危険なK国に、
国を根底から変えるような政治的な事件が起こる。
その一端を担がされるかのように、
屋久島にテロリスト集団が送り込まれる。

屋久島の一部が破壊され、罪のない島民が犠牲になる。
島を占拠せしめんとするテロリストは、
島民を人質にして日本政府に無理難題を要求する。
それはアメリカをも巻き込む大事件に発展していく。

ストーリーには屋久島の安房の町や縄文杉のあるエリア、
私の記憶に残っているところが出て来る。
島の出身者である山岳ガイドや警察官の行動、
住民たちの島を守ろうとする気持ちなど、
地の利を使ってテロリストと対峙するところ、
手に汗握る攻防が見どころである。

テロリストって言うとそれほどピンとこないけど、
実際に武器を手にして戦争や紛争に参加した人間って、
その手で命を奪った事がある人ってやっぱり普通の人間とは違う。
気持ちの根底に座った物がある。
殺らなきゃ殺られる、そんな状況になって、
そんな状況を乗り越えて生きているわけだから。

屋久島の自然が破壊されるところは心が痛んだけど、
フィクションだからね。


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