「新宿鮫」を読み終えてしまったので、
大沢在昌の作品からこれを選んだ。
逃がし屋と言う商売がある。
理由があって(まぁ命を狙われているとか、犯罪を犯したとか)
日本にいられなくなった人を他人に仕立てたりして、
外国に逃亡させる稼業の人である。当然、違法である。
葛原と言うプロの逃がし屋がいる。
ある日、公安の河内山が葛原の元を訪ねて来る。
葛原は偽名である。葛原は一緒に仕事をやっていた男に罠にはめられ、
殺人の主犯として指名手配されていた。
葛原と言う名前になって10年、河内山は葛原を調べ上げており、
葛原が指名手配犯であると言う事実を抹消する代わりに、
ある男を見つけ出すと言う仕事を依頼する。
まぁ半ば脅迫である(笑)。
密入国している某国の元首の息子と同行している男・成滝。
成滝は関西拠点の逃がし屋で葛原と同業である。
東の葛原、西の成滝(東の粟生、西の亀田?笑)と呼ばれている。
成滝は元首の息子を母国へ逃がすために同行しているのか?
その裏にある理由とは?
某国と言うのがK国っぽいのであるが、
跡目争いに日本が国家として関わるのか、知らぬふりするのか、
公安の河内山が自分の首をかけ、葛原の頭脳と経験を見込んで
特別任務にあたらせる。
5日と言う短期間に東京、大阪などを移動しながら、
頭脳とカンを働かせ、関係者を洗い出しながら、
成滝に近づいていく。そしてプロ同士のプライドと意地、
取引をしながらクライマックスへ。
新宿鮫では悲しい結末も多かったのであるが、
この作品では結果が出た後、ひと段落するくだりがあり、
成滝の結論が出ても、葛原の結論も出さなきゃならんし、
葛原のチームのメンバーや同行した警察官の結論もあるし、
そのあたりが書かれていたのでほっとしたかな。
今後も大沢在昌作品を読み続けようと思っている。