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カレーなる日々 / शानदार दिन

インドの日常を中心に日々を綴っています。

「氷舞:新宿鮫Ⅵ」大沢在昌

2022年03月28日 21時37分59秒 | 本 / BOOKS

大沢在昌の新宿鮫シリーズ第6段。1996年。

警察と公安はよく出て来るのだが、この作品では、
鮫島警部と同期の公安の香田警視正のやり取りが多いので、
鮫島が新宿署で浮いている事について触れてみる。

そもそも鮫島は国家公務員採用Ⅰ試験に合格した、
いわゆるキャリア(幹部候補生)であった。
国家公務員採用Ⅰ試験の合格率は0.2%という超難関。

警察庁に入庁後に出向したある県警察警備部公安第三課時代に、
ノンキャリアの警部補とスパイを巡る意見の対立から襲われて、
重傷を負ってしまう。そして警視庁公安部外事二課時代には、
自殺した同期の宮本の遺書を預かったが、公安部内の秘密が
書かれていたため警察機構内における危険人物扱いになり、
新宿署の生活安全課に飛ばされていまった。

新宿署でも関わりたい者はおらず単独捜査に当たるが、
抜群の検挙率を誇る。香田は順調に昇進し警視正となっているが、
鮫島の事は嫌っており見下している。

鮫島の14歳下の恋人でロックシンガーの晶との関係にも、
変化が現れる。晶がデビューした事によって時間的にも
精神的にも・・・お互いが必要としているにもかかわらず。

鮫島は偽造クレジットカードの犯人を追っていた。
とあるアメリカ人が射殺され、コカインの密売の容疑が
浮上したが、鮫島の追っている犯人とつながりがあるのか?

鮫島は鑑識の藪にさそわれて一人芝居の舞台を観に行き、
その女性の役者の不思議な魅力に惹かれる。

死亡したアメリカ人を調べ始めるが元CIAだった事で、
上層部からの圧力で動きを封じ込まれてしまう。
昇進に関係のない鮫島と将来を嘱望されている香田とでは、
考え方も行動も異なるが、警察官と言う自負とプライドから、
板挟みになっていくところも読みどころ。

鮫島が惹かれた女性との接点とその背後にある過去、
公安内部と政界との結びつきと野望・・・・。
結果的に鮫島と女性とは結ばれなかったのではあるが、
晶以外の女性に心を奪われた事の罪悪感を感じてしまう。
第1作から4年が経過しているので、
時間と共に人間の気持ちも変わっていくのだなぁと、
思ってしまうのであった。

TV版では、鮫島=舘ひろし、香田=永島敏行であるが、
晶は島谷ひとみ、謎の女性えりか=鷲尾いさ子。

コメント
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