
(2007.12.09 新宿御苑)
初冬の柔らかな日差しを受けたあずまやで、年配のご夫婦が仲良く紅葉を
見ながらお話しに興じられていました。
余りにも絵になる風景だったので、あずまやの背後から一枚写真を撮らせて
貰いました。この写真に題名をつけるとすれば、「仲良しさん」でしょうかな。
ところでこの微笑ましい年配ご夫婦を見ていて、思わず、ブラームスが晩年に
作曲したピアノ小品集の中の「間奏曲 イ長調」をイメージしました。
ゆっくり過ぎるほどゆっくりとしたポゴレリチの演奏は、一音づつを物凄く丁寧に
「全ての力をためるように」弾かれます。
その静かな静かな曲の序奏部分から、一転して激情に駆られたかのような激しい
部分を経て、曲は再び穏やかなエンディングに向かっていきます。
・晩年の功なり名を遂げたブラームスも、ふと立ち止まって、来し方を振り返り、
フゥーと大きな息をついて、一気にこの曲を書き上げたのではなかろうか?
この曲が「間奏曲」であるのは、その観点からも、「人生の間奏曲」の
意味合いが込められているのだろうか?
・美しい紅葉を前にし、年配のご夫婦も、「やっと一息つけるところまで来たね」
と仲良く話し合っているのではなかろうか?
であればこのシーンこそ、ご夫婦にとっての「間奏曲」なのでは?
・ここを先途と色鮮やかに紅葉した木々も、間もなく全ての葉を散らし、長い
冬の眠りに入ってしまうことだろう。
だがそれは春の芽吹き、いっせいに咲き始める開花のための休止期間なのだと
すれば、これも自然の木々にとっての「間奏曲」ではなかろうか?
世間的には早くも年の瀬。
しかしあえて慌しい時の流れに逆らって、ここはじっくりと立ち止まって、
一息つけようじゃありませんか。
この曲は、そんな時こそ聴く人を最高の思索に誘ってくれるに違いありません。
