朝から陰鬱な鉛色の空模様だったが、昼過ぎには、とうとう雨が降り出した。
夕方近くになって、霧雨の降る中を近所のスターバックスまで出掛ける。
時刻は夕方の4時半頃か、ふと気づくと ・・・ナ,ナヌ!
雨は嘘の様にあがり、地平線ぎりぎりの低い位置から眩しい太陽の光が
コーヒーショップの店内に射し込み、ガラスの
食器類をキラキラと照らしているではないですか!
私は辺りを見回して思わず、「皆さん!雨があがって夕日がきれいですね!」と
叫びそうになった。その日の夕日は、雨のあとで実に唐突に出現したこともあって、劇的に美しかった(だが、その事に気づいた人は殆どいなかったようだ)。
「マンションの9階西側からなら、夕日は一段ときれいなはずだ」と私は確信
し、走るように自宅に戻った。その、たった10分の間にも夕日は大空一杯に
広がり、その表情を刻一刻と変えていった。
そして、マンションの9階からの夕日は言葉にならない位に美しかった。
既に灯りのつき始めた夕闇の家々の上空に真っ赤に染まった空、そして黄金色に
染まった雲は悠然と流れ、空の所々にはまだ青空の余韻が残っている。
まだ言葉を話せない1歳半のコウタロウも「アー! ウー!」と西の彼方を
指差して興奮気味だ。
「一緒にこの夕焼けを見れて良かったね」と私は彼に言ってみるのだった。