Sunset Cafeへようこそ

いつか、夕日の美しい絶景の地にカフェを・・と願う私のバーチャル・カフェ。未知の音楽と人との出会う場所。

これぞ究極の名盤 ・「TRIO II」 ・・・・・ 秋の初めに ④

2010-09-18 09:43:40 | たまに聴くならこの一枚

(某年9月初旬 北軽井沢・Jazz Cafe Bird)

朝起きて窓を開けると、「さぁー」と高原のような爽やかな空気が流れ込みます。
青く晴れ渡った空、フランスパンのような真っ白な雲(朝一番、お腹が空いています)。

今日の予想最高気温は28℃、最低気温は23℃。
僅か2週間前の狂ったような暑熱の日々を振り返ると、天国的な快適さではあります。

リンダ・ロンシュタット、エミルー・ハリス、ドリー・パートンのカントリーミュージックの名歌手3人が競演する名盤・「TRIO II」は、澄んだ大気、高い空、
爽やかな風、を連想させる珠玉のようなCDです。
誰でもこれを聴いたら、薪のはぜるパチパチという音や、木が燃える時の煙たい匂いや、夜空に昇る焚き火の煙や、手を伸ばせば届きそうな沢山の星、
などを連想して、「そうだ、今度の週末は山でキャンプしてみようかな」という思いに駆られる事でしょう。
この一枚のCDはその音楽の完成度の高さゆえに、それくらい私達の心情に肉迫してきます。

このCD作成時(1999年)にリンダ・ロンシュタットとドリー・パートンは共に53才、エミルー・ハリスは52歳だったようですが、
そのエネルギーに満ち叙情性溢れた歌い方からはそれぞれの年令は全く信じられない思いがします。

この魅力に溢れた全10曲のアルバムの中で、私が特に好きなのは、1曲目の「Lover's Return」とそれに続く2曲目の「High Sierra」です。
リンダがゆったりと力強く謳いあげ、エミルーとドリーがバック・コーラスでハモる、という夢のような素晴らしさです
特に「ハイ・シエラ」では(3曲目のエミルーの歌・「Do I Ever Cross Your Mind」でも)、後にカントリーの名歌手となり活躍中のアリソン・クラウスが
フィドルを弾いているのも凄いことです。

因みに私は「TRIO I」も持っていますが、アルバムの完成度や音楽性は「TRO II」の方がはるかに優れているように思えます。

このCDこそ、「もし貴方が一つだけ無人島に持っていくとしたら何を・・?」というよくある架空の問いに応えるものです(そんな無人島にCDを聴く設備
などもともと無いのでは?という野暮なことは言わないで下さい・・・)。


Trio II (Two)

Asylum Records

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ヘブラーの弾く「フランス組曲」 ・・・・・ 夏の終わりに ③

2010-09-14 20:56:32 | たまに聴くならこの一枚

(2010.09.13 上野・不忍池公園)

炎天下、公園を1時間ほど散歩する。
シャツがぐっしょり濡れるほど汗が吹き出るけど、木陰のベンチでしばらく休むうちに汗がひき、ひんやりした涼しい風が頬を撫でます。

季節は一日づつ着実に秋に向かっているのを感じます。

イングリッド・ヘブラーの弾くバッハの「フランス組曲」全6曲のCDはここ15年くらいの間、私の愛聴盤です。
その特に力まない、淡々とした自然体のヘブラーの演奏の仕方が私はすっかり気に入っていて、これこそバッハがこの曲の
作曲に当たって望んだ演奏のしかたなのでは、と私には思えます(これまで私は可能な限り多くのピアニストが演奏する様々なフランス組曲を
聴いてきましたが、ヘブラーの演奏が最も「腹にはまる感」、があって手放せません)。

特に組曲第3番ロ短調(BWV814)は、夏の終わり(秋の初め)の今の季節を彷彿とさせるものがあり、わたしの好みです。
一つの出来事(夏)の終わりや新しい出来事(秋)の到来を予感させるような、深い哀感ともの悲しさがあり、ふと、思索に誘われます。
また、他の組曲では、(私のイメージの中で)もっともっと秋が深まり眼前に紅葉の大パノラマを展開したり、
春の萌える様な新緑に包まれたかのような連想をさせられるフレーズも頻繁に出現します。

宇宙的な空間の拡がりや深遠な音楽の可能性・・・。
これがバッハの素晴らしさのゆえんなのでしょうが、ヘブラーの気負いのない自然体の演奏はバッハの世界を
より素晴らしいものにしていると私には思えます。

バッハが意図したかどうかは別として、私はいつもフランス組曲全体から、汲めども汲めども汲みつくせない
春夏秋冬の自然の営みの素晴らしさを感じています。

バッハ:フランス組曲
ヘブラー(イングリッド),バッハ
マーキュリー・ミュージックエンタテインメント

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村治佳織の「カヴァティーナ」 ・・・・・ 夏の終わりに ②

2010-09-11 19:49:22 | たまに聴くならこの一枚

(2010.09.11 ペニンシュラホテル東京)

昼間は名残りのセミの大合唱、夕刻からは「リーン、リーン」と秋の虫の涼やかなソロが共存する今の東京です。

村治佳織さんの「カヴァティーナ」というCDを初めて聴いたのは、5年位前の9月初め、安曇野の森の中にあるレトロモダンな旅館「なごみ野」
に泊まった時のことでした。
お料理も雰囲気も何もかも素敵でしたが、ここでBGMとして聴いたこの曲が忘れがたく、東京へ帰ってすぐにCDを買いに走ったほどでした。

この曲を聴いた時季と、この曲自体の曲想とが見事にマッチして、この曲を聴くたびに夏の終わりのアカマツの林に囲まれた閑静な旅館のことや、
清浄なこんこんと湧き出るお湯のことや、皆なで心のこもったお料理の数々を頂いたことなどを思い出します。

淡々とした演奏の中に、どこかメランコリックな寂しさが漂い、何度聴いてもあきることがない曲です・・・特に夏の終わりの今の季節には。

この曲自体はジョン・ウィリアムスの編曲でヴェトナム戦争が主題の映画「ディア・ハンター」の挿入曲としてその当時有名になりました。
凄惨な戦争映画のテーマ曲にこのような静謐で思索的な曲を採用したセンスは凄いと思いますが、そのようなエピソードがなくても、
村治さんの控えめなギターは私の意識の遠いところから、静かに静かに情念をかき立てられるような思いがいたします。

CAVATINA
村治佳織,ブローウェル,ヨーク,ロジャース,テルソン,バリオス,サグレーラス,ラウロ,プホール,マイヤーズ
ビクターエンタテインメント

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アンドレ・ギャニオンの「風の道」 ・・・・ 夏の終わりに ①

2010-09-10 14:58:27 | たまに聴くならこの一枚

(2010.09.09 東京都文京区)

「この国に再び秋は来るのだろうか?」と思い始めた矢先でした。
9月になっても35℃を超える日々でしたが、昨日あたりから、早朝の涼しさや木々を渡る風に高原のようなさわやかさが感じられるようになりました。
やれやれ・・・。

長い夏がようやく終わりかけ、ふと街角でも、やや涼しげな風を感じる今。
良いですなあ、この季節。

自宅で久し振りにアンドレ・ギャニオンのベスト盤を聴いているうち、「風の道」という曲が、今のこの季節にピッタンコなのに唸りました。
はかなげで、どこか寂しげで、ノスタルジーに満ちたアンドレ・ギャニオンのピアノは、
夏の間の沢山の出来事が、過ぎていく時間の経過の一こまだったと改めて気づかされ、暫くの間、感傷に浸ることになります。

もちろん、「静かな生活」、「めぐり逢い」、「雨ふりのあとで」、「セピア色の写真」などもすごく好きです。
「夏の終わり」なんか、そのものズバリの曲名ではあるけど、う~ん・・・。
やっぱり、この「風の道」が今この時にはぴったりの気がします。

うん、もう一回聴こうかな・・。

そよ風の頃~アンドレ・ギャニオンのすべて
アンドレ・ギャニオン
ビクターエンタテインメント

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