Sunset Cafeへようこそ

いつか、夕日の美しい絶景の地にカフェを・・と願う私のバーチャル・カフェ。未知の音楽と人との出会う場所。

行間から音楽が聴こえる・・・村上春樹ワールド

2009-08-29 18:18:22 | 日々徒然
村上春樹氏は公けに得られる情報から判断する限りでも、彼以外の多くの日本人小説家とは明らかに一線を画している部分が多いと思います。

・生産者(小説家)⇔消費者(読者)とのダイレクトの関係を成立させ、「出版社」という仲介者の企画や意向への考慮なしに執筆活動し、書く物全てが次々と読者の心に肉迫し ミリオンセラーになっている。
・その過程に於いて、(日本とのしがらみから完全に隔絶した形で)、海外(イタリア、ギリシャ、アメリカ等)を拠点に作品を生み出し、しかも生み出した作品は全て日本の大衆に受け入れられ大ヒットしている。
・村上氏は「小説家」という職業に対し我々がイメージしがちな「自由奔放な生活スタイル」とは無縁の、「きっちりした自己管理下」で執筆活動をしている。
早朝起床し、ジョッギングを愛好し、午前中だけ物を書く(恐らくはヘンデルが流れる環境下で)。

しかし村上氏の小説が際立って他と異なるのは、村上作品のどのページをめくっても、その行間から音楽が聴こえてくるような、その「小説の音楽性」にあると思います。小説のタイトルさえポップスのヒット曲のタイトルからそのイメージを転用する場合が多いのは周知の事実です;
 ・「ダンス・ダンス・ダンス」は
   ビートルズの「ダンス・ダンス・ダンス」から。
 ・「国境の南、太陽の西」は
   ナット・キング・コールの「国境の南」から。
 ・「ノルウェイの森」は
   ビートルズの「ノルウェイの森」から。
 ・「世界の終わりとハード・ボイルド・ワンダー・ランド」は
   スキーター・デイヴィスの「ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド」から。
といった具合です。
村上作品に登場する音楽のジャンルもジャズ、オールディーズ、クラシックと多岐にわたりますが、私は村上氏の好みの中心はビーチボーイズやドアーズ、ビル・エヴァンスやスタン・ゲッツ等のように60年代の白人系の音楽であるように感じられます。

しかし、村上氏の最新作である「1Q84」では冒頭からヤナーチェクの「シンフォニエッタ」という渋い曲が登場します。
村上氏が小説の中で表現したい内容や主眼点は「ノルウェイの森」がヒットした初期の頃に比べるとかなり変化してきていると思いますが、同時に小説の中の大事な味つけ・スパイスとして使われる音楽そのものも、かつてのポップス系からクラシック系の隠れた逸品へと変化していると感じるのは私だけでしょうか?
(少なくとも村上氏は最近はドアーズを余り聴かなくなり、それに反比例してヘンデルなどを好んで聴いているような気がするのですが)。

因みに私は、村上作品をよりよく分かる為には(或いは皮膚感覚でその内容を楽しむ為には)、頻繁に登場する音楽について或る程度以上の理解度が必要だと思っています。
「何故村上氏はこの場面でこの曲を登場させるのか?」を憶測しながら、また登場する曲を実際に聴きながら読むと更に一段と面白いものです。


夕日に生ビール、豊洲のカフェ・アンジェロ

2009-08-26 21:15:34 | お薦めの店あれこれ

(2009・08・23 豊洲 カフェ・アンジェロ

日曜日にお台場で仕事を終わったのが夕方の6時。

お台場の空を見上げると、頭上に広がる大きな大きな夕焼けの空。
所々の雲が夕焼けに染まって「いい色」に仕上がっている。
つまりそういう時は、ビールを飲みたくなるってコト・・・。

ゆりかもめでお台場海浜公園駅~DECKSへ向かうのは二人連れのときのコース。
でも今日は一人だから豊洲のアーバンドッグららポート豊洲へ。
一番海に近い店の一番海に近いオープンテラス席を見つけて、はやる気持ちをおさえつつ生ビールとカナッペをオーダー。

暮れ行く大空の下、目の前のファミリー客を横目に一人静かに生ビールを(そして良く冷えたリースリンクを)飲む!
良いですなあ・・。

このカフェ・アンジェロには1年に2回くらい来ます。
ここのロケーションと雰囲気(特に夕暮れ時の)が気に入って、夏の終わりとかに思い出したように立ち寄ります。
因みにどんなレストランやカフェでも私は料理や味は二の次、三の次で全く期待していません。
私は「よい雰囲気」こそお店の最優先事項であると信じている人です。

美しい都会の夕暮れに、暮れゆく夕空の下でゆったりとした気分で、大自然と都会のコラボレーションを楽しみつつキリリと冷えた生ビールを飲めるお店は、実はそう多くはありませんなあ・・。

画家と庭師とカンパーニュ

2009-08-25 09:02:14 | 映画のおはなし


この映画(DVD)を見終わった後、すぐにDVDを返してしまうのがもったいなくて、とうとう4回も毎晩続けて見てしまいました。
何とも「余韻の残る映画」ではありました。

初老にさしかかった画家はパリを拠点に華々しく画家生活を送ってきましたが年若いモデルとの不倫が原因で奥さんと離婚係争中。可愛い一人娘も家を出てしまい、心身ともに都会に疲れた画家は生まれ故郷(カンパーニュ)に戻ります。
とりあえず荒れ放題の庭の手入れをしようと庭師を募集しますがそこに現れたのが
地元(カンパーニュ)・小学校時代の悪ガキ仲間だった男(今は庭師)。
50年ぶりの懐かしい再会を果たした二人は、次第に美しく変貌していく庭を舞台に、様々な会話を交わして旧交を暖めていきます。

画家(ダニエル・オートゥイユ)と庭師(ジャン=ピエール・ダルッサン)の二人が交わす会話が、何げにほのぼのと暖かく、一つ一つの言葉がキラキラと輝くように思えました。二人は生き方もまるで正反対で、庭師は「目に見える身近な世界の中で平凡に生きている」のに対し、画家は「目には見えない奥深く隠れた陰を追求して」生きています。
「何故絵を描くのか」を画家が語る場面が、庭師のとぼけた口調や表情とも相俟って、コミカルでありつつも人生の機微を衝くシーンでもあります。
この辺りは先日ご紹介した「モンテーニュ通りのカフェ」とも共通しますが、笑いのオブラートにホンワリと包みながら、時折に人生の深遠に迫る意味深いセリフが随所に出て参ります。正に成熟した大人の国のエスプリと言ったら良いのか・・。

「キラキラ輝く」と言えば、この映画全編を流れるのは美しいカンパーニュの景色であります。そしてその輝くような風景の中でワインを飲む場面が何度も出てきて思わず「ゴクリ」と喉がなります。実においしそうです。

余談ですが、私は「カンパーニュ」というのはブルゴーニュやシャンパーニュのような「フランスの地方の名称」だと思っていました。
詳細を知ろうと思ってフランス大使館に電話したところ、「ノンノン、違いマ~ス、カンパーニュは英語のカントリーのコト、田舎っていう意味ネ」と大使館のマドモアゼルにたしなめられてしまいました。

この映画のフィナーレ近く、野菜畑に寝転がる庭師のトランジスタラジオからモーツァルトのクラリネット協奏曲・第二楽章アダージョの、あの天国的に美しい旋律が流れます。あの場面、私は大好きです。

それにしてもフランス人は良い仕事をしてますなあ・・。


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朝晩過ごしやすくなったね!

2009-08-17 20:12:29 | 東京さんぽ・夏

(2009.08.17 中央区明石町付近の隅田川・後ろは勝鬨橋)

ふと隅田川の方を見ると、水上スキーで爆走している人がいました。
これは珍しい! これは涼しそうだ!

隅田川を水上スキーで突っ走る人なんて、それほど多くはなさそう・・。
というよりもこの壮挙は写真に写ったこの二人組みだけかも知れません。

日中は確かに暑い。でも耐え難いほどの暑さでもないね。
それよりもここ数日の朝晩の涼しさ、j過ごしやすさ、快適さはどうよ?
早朝6時頃なんて、「ン?、ここ軽井沢だっけ?」と思うような爽やかさだよ。
夕方日がおちてからの涼しさ・快適さも半端じゃなく、その中で飲むビールの旨さなんて半端じゃないぜよ。

今年の夏はもうすぐ終わりで、秋の気配がもうそこまで来ているぜよ。
今のうちにウンとビールを飲んでおこうぜよ。

コータン、床屋へ行くの巻

2009-08-12 20:46:59 | 日々徒然


(コータン) オゥ、オヤッサン、いつものようにさっぱりやってくんな。
(オヤジ ) へい、くすぐったがり屋の若旦那、じっとしててくんなよ。



(コータン) 何か、首のトコがちくちくするぜ、おやじよぅ。
(オヤジ ) いつもうるさくて落ち着かないね、若旦那よぅ。
       すぐ終わるからもうちっと静かにしててくんなよ。



(コータン) オヤッサン、さっぱりしたぜ。釣りはいらねえ、とっといてくれ。
(オヤジ ) これ、5円玉じゃんか、冗談きついぜ。トホホ。



映画・「小説家を見つけたら」

2009-08-11 17:04:44 | 映画のおはなし


素晴らしい映画でした。
今までこんな良い映画を見逃していたなんて・・。

この映画をDVDで見る気になったのは、先日このブログでイスラエル・カマカヴィウォオレの「虹の彼方へ」のことを書いた後のことです。
あの記事を読んだ読者の方から、あの歌はショーン・コネリー主演の映画「小説家をみつけたら」のエンディングで出てきますね、と教えていただき、大急ぎでDVDを借りて観た、という次第です。

泣けましたね、この映画!
世捨て人のように暮らす老小説家と、大きな才能を秘めた黒人少年との出会いと心暖まる交流が素敵です、それもブロンクスを舞台に・・。
ラスト15分の展開が感動的でその感動に包まれたままエンディングとなるわけですが、あの「虹の彼方へ」のIZの歌が流れると涙が止まらなくなりました。

あの名作「グッドウィル・ハンティング」の監督であるガス・ヴァン・サントがこの映画の監督もしていることを知って、さもありなんと思いました。
ヒューマンな師弟愛、天才的な生徒、という共通テーマを感じました。
(そういえばこの映画の最後の場面でマット・デイモンがちょこっと出ますね)。

「アメリカ映画はお金をかけなければかけないほど良い」というのが、ある意味あたっているかもしれません。

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嵐を衝いて、ジュニア・フィルのコンサートへ

2009-08-08 12:02:11 | ライブハウス・コンサートを訪ねて

(ジュニア・フィルのHPより)

ジュニア・フィルハーモニック・オーケストラ」という青少年だけで構成されたオーケストラがあることを知りませんでした。
ましてその若者だけのオーケストラがこんなに高い演奏レベルで、その真摯な音楽演奏にこんなに心を打たれるとは思わず、それは良い意味で私の誤算でした。

・ ドビュッシー/夜想曲より1・「雲」2.「祭り」
・ バルトーク/舞踏組曲
・ チャイコフスキー/交響曲第5番ホ短調
これが昨晩のコンサートの演奏内容です。
私が最も感心したのは、いづれも演奏技術の点で難曲揃いのこれらの曲を、よくここまで美しいハーモニーにまとめ、全体として聴衆に向かっての大きな方向性を問いかける力としたその努力について、です。
この演奏を聴いていると、個々の楽器が本当に気持ちよく鳴っているのがよく分かりますし、それが全体として大変によくハモッている事が分かります。

そのことが最も顕著に感じられたのはチャイコフスキーでした。
100名近い演奏者全てが若者という事実からくるものなのか、「若々しいチャイコフスキー」をそこに感じました。
演奏は緩急・強弱にとてもメリハリが利き、よく統率がとれ、一言で言えば「聴衆に迫って来る、訴求力の高い演奏」でした。
演奏を聴いていると、私の目の前にはロシアの果てしなく広がる大地や地平線までつながる大海原のようなロシアの森林がイメージとして広がりました。

このオーケストラは1972年に創立され、10才から大学生程度までの青少年だけで構成され、其々の楽器パートはN饗などに所属する楽器演奏者などから演奏指導を受け、ヨーロッパや中国などへの海外公演も行っているそうで、住友商事がこれを支援しているようです。(良い仕事をしてますなあ、住商さんは・・・)。
ぜひこれからも多くの人たちに素晴らしい音楽を送り続けて欲しいものです。

コンサートの直前、東京は突然に雷雨に襲われ、私達も風雨の中を東京芸術劇場に駆けつけました。
ずぶ濡れになってのコンサートでしたが行った甲斐がありましたなあ・・・。







Somewhere Over The Rainbow

2009-08-04 10:37:53 | たまに聴くならこの一枚


8月に入ったのに真夏らしくない曇りや小雨模様の日が続きます。
そんなある日、暮れはじめた東京の空に美しい虹が出現しました。

私がこの虹に気がついて自宅マンションの屋上に駆け上がった時、虹はほんの1~2分の最盛期を過ぎて消えつつあるところでしたが、とにかく最後の瞬間を見ることが出来ました。
高層ビルだらけの東京の空ですが、自然が創り出した一瞬の夢のように美しいシーンはFM放送でごく最近までよく流れていたあの曲を思い出させました。イスラエル・カマカヴィウォオレの「Somewhere Over The Rainbow (虹の彼方へ)」です。
(現在、この曲はYouTubeで簡単に聴くことができます)。

あの驚くべき巨体に似合わず、IZの歌はソフトで甘さがありますね。
というよりも「癒し」そのものと言ったら良いのか、やや憂いを含んでいます。
アップテンポのウクレレに乗せて歌うIZの歌は、従来からのこの歌のイメージと違って、楽しげでもありつつどこか寂しげにも聞こえます(彼が38才の若さで他界してしまった事も想いあわせると余計に)。

思えば私達の日々も、また一生という其々の人の持ち時間も、何十万年という人類の歴史的時間の流れに比べれば、実は一瞬の虹のようにはかないものであるのかも知れません。
また、だからこそ私達はあの虹のように美しくありたいのかも知れません。

それにしても、あの虹の彼方には何があるのでしょう?

Facing Future

Mountain Apple

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