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Sunset Cafeへようこそ

いつか、夕日の美しい絶景の地にカフェを・・と願う私のバーチャル・カフェ。未知の音楽と人との出会う場所。

「フラメンコ・フラメンコ」を観た!

2012-03-04 20:50:04 | 映画のおはなし


渋谷文化村のル・シネマで、念願だった映画「フラメンコ・フラメンコ」を観ました。

一つ一つの画面と映像が、そのまま切り取って永久に残したいくらいに美しい。
もちろん、フラメンコというスペイン独特のダンスと、それを形作るギター、歌、手拍子などの総合されたものを
映画館で鑑賞するので、私の眼と耳に受けたインパクトは強烈なものがあります。
何という凄い映画でしょう。

この映画の監督は、私が20年位前にこの同じル・シネマで観て、感動してボロ泣きしてしまったあのフラメンコの
映画「カルメン」の、カルロス・サウラです。
(ギターのパコ・デ・ルシアはあの「カルメン」の時も、この映画でも、同じく熱演しています)。
フラメンコの持つ哀愁と情念が、カルロス・サウラの心を反映するように、ひしひしとスクリーンから私に
伝わってきました。

映画の中では21曲のフラメンコが演奏されますが、私は個人的に特に心に残ったのは、
  ・エストレージャ・モレンテの歌う「タンゴス」
  ・ファルキートの踊るサパテアード「イリュージョンの雨」
  ・パコ・デ・ルシアがギターをかきならすブレリア・ポル・ソレア「アントニア」
の3曲でしょうかなあ。

それにしても・・・。

もし、人生に意味があり、「美しいものを存分に堪能すること」がそのひとつだとしたら、この映画を
観て感動することで、少しは有意義な時間を過ごした、ということになりましょう。

この映画は3月中旬まではル・シネマで上映されるそうです(当初の2月末までが延長)。
(私がやったように)チケットをオンラインで予約し、開演の直前に現地で受け取ることも出来ます。
仕事も約束もデートも、全てを忘れてでも、今すぐこの映画を観にル・シネマに急行されることを強くお奨めします。



豊川悦司の魅力 ・・・ 映画・「必死剣 鳥刺し」から。

2011-02-20 09:07:55 | 映画のおはなし
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「もっと長く、豊川悦司演じる信長の出演シーンを続けて欲しかったのに・・」と思いました。
無理な相談ですな。
何しろ、信長が本能寺で光秀に討たれなければ、お江を巡る今後のドラマの展開も無い訳ですからね。

それにしても、豊川悦司の信長、凄い存在感でした。
ドラマの中の新しい信長像に対し、またその解釈の是非を巡って、いろいろと議論があるようですが
それもこれも豊川悦司の演技がなせることだと思います。

ところで昨年、映画館のロードショーで「必死剣 鳥刺し」を観ました。
(それ以前に藤沢周平の原作を本で読んでいたので、映画封切りと同時に飛びついて観ました)。
豊川悦司演じる主人公・三左エ門の、豪快かつリアルな剣の冴えに圧倒されましたなあ。

やはりこの映画のクライマックスは、ラスト30分の殺陣(たて)でしょう。
剣の達人で別家の当主・隼人正(吉川晃司)が大刀を抜き、これを阻止しようと三左エ門(豊川悦司)が
小太刀で応戦するシーンです。
またその後にラストまで続く十数人の侍を相手の大乱闘シーンも時代劇映画史に残る名場面ではないか
と思います。

豊川悦司のやや沈んだような、声を抑えたようなセリフの言い回し方が好きです。
何か突き詰めたような、思索的な、重い表情もいい。
186Cmの長身から繰り出す剣は豪快で、甘さのかけらもなく、痺れますな。

やる時はやる。
最後のここぞという時には死を賭けた一撃で敵を倒す。
こういう、かつての日本男子の典型のような、すっきりした生き方の男は、今は見当たりません。

そんな、いさぎよさ・清潔さを持つ男を豊川悦司は見事に演じています。


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最近、かなり面白いTVドラマ ・・・ 「坂の上の雲」

2009-12-23 22:32:56 | 映画のおはなし


原作(小説)の映画化(TVドラマ化)は概ね面白さが半減する、というのが私の考えです。膨大な文字の行間に込められた原作者の思いは、僅かな上映時間で全てが語り尽くせる筈もなく、期待が多い分だけ映画やTVドラマを見て「何やね、これは?」とその消化不良の具合に失望する事がこれまでは多かった。

NHKで日曜日の夜8時から放映中の「坂の上の雲」は数少ない例外で、司馬遼太郎氏の原作を夢中になって読み、胸躍らせたあの「ワクワク感」や「高揚した気持ち」が、TV画面を見て、原作を読んだ時以上の興奮を覚えます。

これは掛け値なしの必見のドラマであります!
現在、これ以外に見るべきドラマはない、と言い切れるドラマであります!
さすがNHK,良い仕事をしてくれております。

かえすがえすも、明治の頃の我らの先輩・日本人は偉い・・この事です。
ドラマの主人公である秋山兄弟だけでなく、名も無い市井の人に至るまでその人なりの「気概」を持って生きていたんですなあ・・。

ひるがえって、自分自身を含めた現在の日本人を省みる時、明治の頃の先輩たちと同じ日本人とは思えないほどまるで違う人々であるように思います。
「日本は、日本人は、どこへ向かえばよいのか?」
このTVドラマはそんな根源的な質問を日本人すべてに投げかけています。


最近、かなり面白いTVドラマ ・・・ 「不毛地帯」

2009-12-22 21:55:06 | 映画のおはなし


同じような内容のバラエティー番組が多く、魅力の乏しい最近のTV番組の中で、フジテレビで毎週木曜日夜に放映中の「不毛地帯」は骨太で内容が濃く、ダントツに面白い。

原作者の山崎豊子氏は、つい最近現実に起こり、我々日本国民の間で大きな関心が寄せられ、社会問題となって今この時点までその余波が続いているようなトピックスの一つ一つに焦点をあてて、ぐいぐいとその問題点を抉り出して行くというスタイルです。今回のトピックスは「総合商社」です。

大本営作戦参謀で極寒のシベリアの捕虜収容所で11年の苦難の年月のあと日本に
帰国を果たした男・壱岐 正を唐沢寿明が演じて秀逸です。
このドラマの魅力の90%はこの壱岐 正の戦後の生き様にあると思いますが、このドラマはドラマの核心である壱岐 正と彼が戦後の日本で辣腕を振るうその舞台である総合商社のどちらも現実のモデルに基づいているから余計に面白いといえます。

そういえば私も某総合商社のグループ会社の一つでサラリーマン生活を送りましたが、入社したばかりの頃、酒が入ると「シベリア帰り」を自慢するエライ上司がおりました。あの方も確か旧帝国陸軍の高級軍人だったと思います。

「不毛地帯」は現在主人公の壱岐がアメリカのフォーク自動車(フォードのことか?)と日本の某自動車メーカーとの合弁を成功させる段階です。
しかし私はこのドラマの最大のヤマ場は第1話~3話の主人公・壱岐のシベリア抑留~帰国後に商社へ就職するまでにあると感じています。
何故なら戦地で人に語り尽くせないほどの辛酸を味わい、その後帰国もかなわずに
長い捕虜生活を強いられた人がどのように日本の復興に尽くしてこられたか、この一点に強い関心があるからです(よく見ると、そのような人は、意外に身近に大勢おられるものです。少なくとも私はその人たちの苦労話を聞いた覚えがあります)。

最後に毎回ドラマの最後に流れるエンディング・テーマについて一言。
あのトム・ウェイツの「トム・トラバーツ・ブルース」は私の大好きな曲ですがこのドラマの最後に似つかわしいとは全く思えません。
私の好きな曲だけにこの曲がもっとそれなりのふさわしい登場のされ方をしてほしかったと残念です(というか、このドラマにあの曲は全くのミスマッチです)。

画家と庭師とカンパーニュ

2009-08-25 09:02:14 | 映画のおはなし


この映画(DVD)を見終わった後、すぐにDVDを返してしまうのがもったいなくて、とうとう4回も毎晩続けて見てしまいました。
何とも「余韻の残る映画」ではありました。

初老にさしかかった画家はパリを拠点に華々しく画家生活を送ってきましたが年若いモデルとの不倫が原因で奥さんと離婚係争中。可愛い一人娘も家を出てしまい、心身ともに都会に疲れた画家は生まれ故郷(カンパーニュ)に戻ります。
とりあえず荒れ放題の庭の手入れをしようと庭師を募集しますがそこに現れたのが
地元(カンパーニュ)・小学校時代の悪ガキ仲間だった男(今は庭師)。
50年ぶりの懐かしい再会を果たした二人は、次第に美しく変貌していく庭を舞台に、様々な会話を交わして旧交を暖めていきます。

画家(ダニエル・オートゥイユ)と庭師(ジャン=ピエール・ダルッサン)の二人が交わす会話が、何げにほのぼのと暖かく、一つ一つの言葉がキラキラと輝くように思えました。二人は生き方もまるで正反対で、庭師は「目に見える身近な世界の中で平凡に生きている」のに対し、画家は「目には見えない奥深く隠れた陰を追求して」生きています。
「何故絵を描くのか」を画家が語る場面が、庭師のとぼけた口調や表情とも相俟って、コミカルでありつつも人生の機微を衝くシーンでもあります。
この辺りは先日ご紹介した「モンテーニュ通りのカフェ」とも共通しますが、笑いのオブラートにホンワリと包みながら、時折に人生の深遠に迫る意味深いセリフが随所に出て参ります。正に成熟した大人の国のエスプリと言ったら良いのか・・。

「キラキラ輝く」と言えば、この映画全編を流れるのは美しいカンパーニュの景色であります。そしてその輝くような風景の中でワインを飲む場面が何度も出てきて思わず「ゴクリ」と喉がなります。実においしそうです。

余談ですが、私は「カンパーニュ」というのはブルゴーニュやシャンパーニュのような「フランスの地方の名称」だと思っていました。
詳細を知ろうと思ってフランス大使館に電話したところ、「ノンノン、違いマ~ス、カンパーニュは英語のカントリーのコト、田舎っていう意味ネ」と大使館のマドモアゼルにたしなめられてしまいました。

この映画のフィナーレ近く、野菜畑に寝転がる庭師のトランジスタラジオからモーツァルトのクラリネット協奏曲・第二楽章アダージョの、あの天国的に美しい旋律が流れます。あの場面、私は大好きです。

それにしてもフランス人は良い仕事をしてますなあ・・。


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映画・「小説家を見つけたら」

2009-08-11 17:04:44 | 映画のおはなし


素晴らしい映画でした。
今までこんな良い映画を見逃していたなんて・・。

この映画をDVDで見る気になったのは、先日このブログでイスラエル・カマカヴィウォオレの「虹の彼方へ」のことを書いた後のことです。
あの記事を読んだ読者の方から、あの歌はショーン・コネリー主演の映画「小説家をみつけたら」のエンディングで出てきますね、と教えていただき、大急ぎでDVDを借りて観た、という次第です。

泣けましたね、この映画!
世捨て人のように暮らす老小説家と、大きな才能を秘めた黒人少年との出会いと心暖まる交流が素敵です、それもブロンクスを舞台に・・。
ラスト15分の展開が感動的でその感動に包まれたままエンディングとなるわけですが、あの「虹の彼方へ」のIZの歌が流れると涙が止まらなくなりました。

あの名作「グッドウィル・ハンティング」の監督であるガス・ヴァン・サントがこの映画の監督もしていることを知って、さもありなんと思いました。
ヒューマンな師弟愛、天才的な生徒、という共通テーマを感じました。
(そういえばこの映画の最後の場面でマット・デイモンがちょこっと出ますね)。

「アメリカ映画はお金をかけなければかけないほど良い」というのが、ある意味あたっているかもしれません。

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「モンテーニュ通りのカフェ」

2009-06-30 23:30:16 | 映画のおはなし


この映画を見終わった後、とてもホッコリした満ち足りた気持ちになりました。
ご馳走を心ゆくまで味わった時のような満足感とでも言ったらよいのか、すごく良い時間を過ごした時に感じる達成感みたいなものも顔を出しました。

この映画の魅力、それはこの映画を見た人の受け取り方によって様々でしょうが、私はこの映画全体を「限りない人間賛歌」がテーマとして流れており、コメディタッチでありながらも心の琴線に触れる人生論までお洒落な味付けと共に語っているところにある、と思うのですが・・。
各論的に言うならば、
・ストーリー展開・・・・・実在するパリ8区モンテーニュ通りにある「バー・デ・テアトル」、「シャンゼリゼ劇場」、「ホテル・プラザ=アテネ」などを舞台に繰り広げられる幾つか異なるお話の同時進行。これが実に面白い。
総ての登場人物がヒロインのギャルソンと個性的な出会いがあり、一つ一つのエピソードがつながっていくその面白さ!
何よりもパリの町とそこに息づく人々の描き方が実に生き生きとして小気味よいくらいです。
・セリフ展開 ・・・気の利いたお洒落なセリフが随所にちりばめられ思わず、にやりとさせられたりする。含蓄のあるセリフだけでも十分面白い。
・映像 ・・・ 美しい、の一言あるのみ。この映画を見終わった後、すぐにパリへ飛んでいきたくなりました。
エンディングのシーンではダリダの歌と共に黄昏のパリの町を上空からゆっくりと
カメラが捕らえていきます。ため息の出る美しさです。
出演俳優 ・・・ よくこれだけ役達者を揃えたものだと感心します。中でも私が最も印象に残ったのは劇場管理人クローディを演じた女性俳優ダニ。それからアメリカ人映画監督・ソビンスキーを演じた本物のアメリカ人映画監督のシドニー・ポラックの二人です。それぞれの登場人物が演技とは思えないほどに自然の演技で実に素晴らしい。また、頑張っているという感じが無いのが良いです。
・音楽 ・・・ この映画の原題は「オーケストラ・シート」。それだけに映画全体に美しいクラシック音楽とシャンソンが流れ、もうたまりません!
アルベール・デュポンテル演じるピアニストが病気の患者や子供たちを前に即興的に弾くリストの「コンソレーション(慰め)」は涙が出るほど素晴らしい。もちろん「皇帝」の第二楽章も。
女性マネージャーのクローディがヘッドフォンでジルベール・ベコーやピアフにうっとりと聞き入るシーンが何度もあります。あれ,大好きです。

それにしても、です。
この映画を見ていると、フランスという国の持つ底知れない文化の深さ、層の厚さに思いをいたさずにはおられません。軽いコメディ風のこのような映画でも思わず引き込まれてしまう繊細な仕掛けやくすぐりが随所にあり、正に大人の国であることを痛感させられました。
大して力んで作っているようには思えず、余力をたっぷり残しているように感じられる所がまた凄い。

何はともあれ、これはどうみても必見の映画だと思う次第です。
日本公開は2008年4月、ダニエル・トンプソン(女性!)監督のフランス映画です。



「アルプスの少女・ハイジ」

2009-05-27 00:01:00 | 映画のおはなし



アルプスの少女・ハイジ!
テレビアニメのこの題名を聞いただけで、懐かしさと郷愁につつまれる人は多いことでしょう。

今から35~6年前、毎週日曜日の夕方、民放テレビで1年間放映されたアルプスを舞台にした少女の物語
(原作はヨハンナ・シュピリ)です。
「自分が2才か3才の頃、良く観た」というお母さんや、「あの頃、子育てしながら家族揃って観ていた」という
熟年のご夫婦もきっとおありでしょう。

テレビ放映1年間分(DVD13本)を、35年ぶりに観終えました。
一番嬉しかった事は、5才のコータローと一緒に65才の私も全く同じように感動を共有できた事でした
(私は35年前の感動を思い出しながら、ですけど)。
毎回テーマソングが冒頭に出てくるので,その都度大声で歌いました。
 
  ♪ もしも 小さな 小屋の戸が開いたら
    待っててごらん ほら あの子が駆けてくる
    二匹の子ヤギと一緒に すきとおった陽射しの中を・・ ♪

このアニメを35年ぶりに観て、この物語がアルプスの雄大さ・豊かな自然の美しさだけを強調したものではない
ことを改めて認識いたしました。
アニメの大きな魅力であり、全体を通して強調されていることは、登場人物たちの
「心の動き」だと思いました。
・歩けないクララを、何とかして歩けるようにしたいと思い行動するハイジ。
・それを全面的に支援し、クララを勇気づけるアルムおんじ。
・ハイジやクララに、出来るだけ協力しようとする山羊飼いの少年・ペーター。
・目の見えないおばあさんに本をよんであげ、「まるで天使の声のようです、本当にありがとう!」と感謝されたことで
 感激して涙する足の不自由な少女・クララ。

このアニメはハイジの代わりに、主人公をアルムおんじにしても、ペーターのおばあさんにしても、
ゼーゼマンさんやロッテンマイヤーさん、或いはペーターにしても、
それぞれの視点の当て方でそれぞれが素晴らしい話しになりそうです。
しかしその底流には、「助けが必要な人に手を差し延べること」の大切さや、人の善意といったものがあって、
それがこの物語の大きな魅力となっています。

ごく素直に泣かされました。
アニメを見て泣きが入ったのは久し振りのことでした。
もしかしたらこのアニメは、物語の良さに加えてアニメとしてのディテールの描き方の魅力も加わって、
ヨハンナ・シュピリの原作をはるかに超えてしまったのではと思いました。

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映画・「バリー・リンドン」とシューベルトの関係

2009-05-17 16:07:21 | 映画のおはなし


・キューブリック監督・1975年製作の映画「バリー・リンドン」を見た事がありますか?
・シューベルトのピアノ三重奏曲第二番変ホ長調を聴いた事がありますか?

ある休日の午後、滅多に聴かないシューベルトをたまたま聴きました。
偶然に聴いた、アンナー・ビルスマ(チェロ)を首魁とするこのピアノ・トリオの演奏するこの曲の第二楽章を
聴いているうちに、「ん?、このメロディーはどっかで聴いたよなあ・・・?」と思い始めました。
どこかで何回も何回も聴いた曲なのに、「どこでどういう状況で聴いたんだっけ?」と思い出せません。
しかしある瞬間に、「おおっ!」と記憶中枢がつながりました。
この曲は何回も見たあの映画・「バリー・リンドン」に出てきた曲でした!

「バリー・リンドン」!
凄い映画ですよね。 サッカレーの原作によるこの物語(ライアン・オニール演じる、野望に燃えたアイルランド青年が
18世紀のヨーロッパを舞台に繰り広げる夢と挫折の波乱万丈の物語)もさることながら、それを自分流の
映像によって表現したキューブリックは、今更ながら凄い!
この映画を見ていると、良い意味で「やるなら徹底的にやるべき」という「完全性」を求めた結果がどういうものであるか、
が良く分かると思いませんか?

ワンシーン毎の映像の美しさがため息がでるほどです。
どのカットを取り出しても必ず「絵になる」シーンの連続で、最初から最後まで画面から少しも目が離せません。
しかし、映画好き・音楽好きの私としては、「こんなに映像と音楽の完成度の高い映画は他にないのでは?」と思うくらいに、
この映画は「音楽が素晴らしい映画」なのです。

シューベルトのピアノトリオ第二番第二楽章の印象的なあのメロディーは、映画の中盤(主人公・レドモンドが美しい
貴族の妻を籠絡する場面)と、この3時間以上に及ぶ映画そのもののエンディングで再び、かなり長い時間で登場します。
それはまるで、「シューベルトがこの映画のために作曲した」かのような完璧さで現れますが、この映画では
19世紀の作曲家であるシューベルトだけが例外で、他のシーンで登場するヴィヴァルディ、ヘンデル、バッハ、
モーツァルトなどすべてがこの作品と同時代である18世紀の音楽作品が使われています。
それだけに、完璧さを目指すキューブリックとしては音楽監督・ローゼンマンと熱い議論を繰り返しながら
この作品のワンカット・ワンカットを完成させて行ったことでしょう。

今から34年前も前の映画ですが、現代のコンピュータグラフィック等のIT技術に頼った最近の映画作品には見られない
完成度の高さがここにあると思います。
私にはある意味で、総合芸術としての映画の頂点を極めた作品(特に音楽と映像のコラボレーションの極み)と
思えるのですが・・・・どうでしょうかね?

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「イントゥ・ザ・ワイルド(荒野へ)」は素晴らしい映画だった。

2008-10-18 12:03:49 | 映画のおはなし


映画が終わり長いエンディングクレジットが流れる間、誰一人席を離れる人は
いないばかりか、静かな館内は感動のすすり泣きやそっと涙を拭く人の姿が多かったようでした(私もその一人)。

アラスカの荒野に死んだ23歳の若者の、実話に基づいた力作で、監督はあの
ショーン・ペンであることも話題を呼んでいます。
私が大いに感動したのも、この映画では、主人公の若者・クリス・マッカンドレスが長い
アドベンチャーの旅で体験するさまざなな出会いや感動や挫折が、実に等身大に率直に表現されている点です。
主人公の若者はヒーローでもなく、格好よくもなく、「悩める23歳の若者」で
あるからこそ私も思わずそこに過ぎた自分自身の青春を投影してしまいました。

この映画の主人公・クリスとは比べ物になりませんが、私も青春の頃、自分自身の自我を確立しようとし、
自分のアイデンティティーを求めて、19才の時と20才の時の2回、1ケ月位の無銭旅行を試みました。
ザックには哲学書を沢山詰め込み、ヒッチハイクをし、教会や学校の宿直室や公民館で一夜の宿を乞い、
多くの人に出会いがありました。
あの時の高揚した気持ちや新鮮な感動は何十年も過ぎた今でも忘れていません。

この映画を見て多くの人は、私と同じように自分自身の青春を投影させ、そこに
自分自身の影を見たかもしれません。

映画には単に感動を与えるだけでなく、自分の過ごしてきた時間を振り返らせ生きる事の意味を
問いかける作品もある事を知りました。
この映画は、これまで私なりに理解していた「アメリカ映画」の概念とは全く違うアメリカ映画で、しかも「重い映画」です。
私はこういう映画こそが映画だと思っています。