(2008.06.22 江戸城半蔵門近く)
今,岳 宏一郎著の「群雲、賎ケ岳へ」という歴史小説を読んでいます。
戦国の武将・黒田官兵衛が信長にそして秀吉に仕え軍師として大波乱の一生を終わる迄が描かれていて、
これが実に面白く、眠る間を惜しんで読んでいます。
この中で当時破竹の勢いで天下布武を達成しつつあった信長が唯一恐れた好敵手があの上杉謙信だったとあります。
その謙信は歴史上のヒーローとして全てにおいて信長とは正反対の人だったらしい。
謙信は仏教の教えに基づく倫理観や人生観を戦いにおいても実践し、鮮やかな
進退を旨としたため、結果的にあらゆる局面でやることが水際立っていた。
彼は信長との決戦を期し、出陣を前に領国内の全ての有力武将に越後・春日山城への非常呼集を命じたが、
その直後にそのまま突然死去した。
その辞世は、
四十九年一睡の夢 一期の栄華一盃の酒 というものだった。
何というかっこう良さ!
人はこうありたい、こう生きたい、こういう去り方でありたい、という見本のようなものではありませんか。
ただしそれでは天下は取れなかったのは歴史が示しています。
人生に感動を求めすぎた戦国武将・謙信は天下は取れなかったものの
戦国の世で味方はもちろん敵からも愛されたそうですな。