NHKの「世界ふれあい街歩き」という番組が好きです。
この番組では、外国の街をかなり低いアングルで移動する撮影カメラそのものが主人公で、時折、散歩する人や
お店の人との会話を取り混ぜながら、それでいて、撮影する人は決して登場しないので、あたかもTVを見ている
私自身が外国の街に迷い込んだような感じがします。
好きですねぇ、こういう手法。
それに、撮影カメラが訪れる外国の街は、有名な観光地は殆どなくて、むしろあまり観光のスポットライトを
浴びていない、ひなびた街(が、それでいて独特の味わいのある街)が殆どです。
そんな街の石畳の細い裏町を、カメラは特に行き先を決めずにどんどん進み、時として頭上から、「ちょっとウチに
寄っていく?」などと声をかけられて、見知らぬ外国の見知らぬ人のお宅にお邪魔したりするシーン
が毎回出てきて、かなり面白いです。
言ってみれば、「等身大の外国の街角」、「皮膚感覚の外国の裏町」、といった所が、このTV番組の
魅力だと思います。
それにこの番組構成の企画そのものが大変に面白い。
これまでの放送で、私が最も気に入ったのは、「アルプスが見える街」という企画で、
インスブルック(オーストリア)
ルガーノ(スイス)
アオスタ(イタリア)
アヌシー(フランス)
のヨーロッパ・アルプス山麓の四つの街がそれぞれ4夜に渉って登場した企画です。
中でも、スイスとの国境近いフランスのアヌシーの時は、心底、この街に行ってみたく
なりました。
ジュネーブやローザンヌ、ヌシャテルなど、スイスのフランス語圏には良く行っていた私ですが、
国境をを超えたフランス側の「アヌシー、なる街」が、こんなにふるいつきなるほど魅力的な街だったとは!
この番組を見て、かなりのカルチャーショックを受けたのは事実です。
(誰でも自分の経験や知識の範囲で未知の事柄を推し量ろうとすることってありますわなぁ・・)。
それからフロリダ州の最南端の街・キーウェストの時も、音楽の溢れる街・サンティアゴ・デ・クーバの
時も、北極圏に近いノルウェーの街・ベルゲンの時も・・。
番組からいつも伝わってくるのは、ここ東京のそれとは違って、
かなりゆったりと優雅に過ぎていく時間、
生きていること、そのものを楽しんでいるライフスタイル
どっしりと、その土地に根付いて、てこでも動かないその街への愛着
といったところでしょうか。
そして、世界中の誰もが、「季節の花々、夕暮れのひと時、一杯のお酒、家族の絆、を愛しているのだ」
という事実でしょうかな。