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函がかなり茶色くなったポール・サミュエルソンの「経済学」第7判、都留重人氏翻訳の日本語版(岩波書店)が、現在おいらの部屋にあるんですが、後ろのほうを見たらの第1刷が出たのは1968年5月18日となっていますね。
うちにあるのは第4刷で、1969年10月10日です。
第7判がアメリカで出たのは67年でしょうかね。
ちなみに評価が高いのは第9版です。いや、知りませんけど。
ノーベル賞を取ったのは1970年ですね。
そんな時期です。
60年代の始めはケネディの経済顧問やっていて、ケネディは死んだけれど、その後のジョンソン政権の時に、サミュエルソンの経済政策が採用されて、とりあえずうまく行ったんですね。ずっといい事が続くわけではないんですけど。
ノーベル経済学賞というものが出来たのが1969年で、受賞第1号が70年のサミュエルソンなのですね。

第6章 富裕と貧困 - 個人と家計所得
F・スコット・フィッツジェラルド:ねえ、アーネスト君、金持はぼくらとは違うよ。
アーネスト・ヘミングウェイ:知ってるよ、あいつらはぼくらより金持ちなんだ。
 
とあって、ざっと見ると格差の拡大や貧困が経済に良くないことだと思っていたことはうかがえます。
その第6章の中の「貧困の減退」(p173)で
カール・マルクスとフリードリッヒ・エンゲルスが<中略>共産党宣言を1848年に発表して以来、今では100年以上をすぎた。その後の時期に、工業化時代資本主義の将来についてのマルクスの予見の一部は正しかったことが証明されたが、なかでもいちばん有名な予見のひとつは誤りであることがはっきりした。富めるものはますます富み、貧しいものはますます貧しくなるという彼の主張は、綿密な歴史的統計的調査による限り支持しがたい。
サミュエルソンが7判を書いてからだいたい50年経っていますが、マルクスのいちばん有名な予見は正しいことが証明されていますね。

一番上手く行っていた時期なので、サミュエルソンは経済学の主流になっていて、まだ強い批判にさらされていなかったということはあるかと思いますが、
基本的に、「何となく性善説」に基づいているというか、少なくともある程度の経済規模をもった資本主義国家において、経済政策を打ち出す役割を担った人間が、国全体の経済よりも自分(たち)の利益を図るような悪人(もしくはその子分)であるということは想定していなかったのではないかと思います。
産業革命当時の劣悪な労働環境や格差・貧困などは、黒歴史であって再び未来にまた同じような状態に向かうとは思っていなかったのでしょうかね。
まあ、サミュエルソン自身が経済顧問をやっている国ならば、さほど貧困は広がらなかったかもしれませんけどね。

マルクスのほうが人間のえげつなさはより把握していたのでしょうかね。

直接関係ありませんが、
pure theory of public expenditure
サミュエルソンの1954年論文「公共支出の純粋理論」。英語です。

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