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社会人大学院で学ぶ技術経営

社会人大学院で技術経営を学びながら日々の気づきを書きとめてみます.

知識移転:企業の競争優位の基盤

2008年08月15日 | 知識移転・知識継承
ArgoteとIngramによる知識移転と競争優位に関する文献

Linda Argote, Paul Ingram, Knowledge Transfer: A Basis for Competitive Advantage in Firms(知識移転:企業の競争優位の基盤), Oganizational Behavior and Human Decision Processes, Vol. 82, No. 1, May, pp. 150-169, 2000」(PDFで入手可能

では、知識移転(※1)の構造を説明するモデルとして「知識貯蔵庫フレームワーク(framework of knowledge reservoirs)」を提案している。

知識貯蔵庫フレームワークでは、知識は基本エレメント(メンバー、ツール、タスク)および基本エレメントを連結するサブネットワーク(メンバー間ネットワーク、タスク間ネットワーク、ツール間ネットワーク、メンバー・タスク間ネットワーク、メンバー・ツール間ネットワーク、タスク・ツール間ネットワーク、メンバー・タスク・ツール間ネットワーク)に埋め込まれていると考える。

ここで、知識移転は、①送り手から受け手への知識貯蔵庫の移動および②受け手の知識貯蔵庫の更新、として定式化される。

基本エレメントだけではなく、サブネットワーク(エレメント間のインタラクション)もモデルに入れ込んだ点がポイント。エレメントよりネットワーク(インタラクション)の方が、より移転が難しい。

知識移転を容易にするには、基本エレメントやネットワークの送り手と受け手の間の「互換性」が重要である。「互換性」を高めるには様々な方法(メンバーの異動など)がある。

一方、企業の競争優位の源泉が「知識」にあるとすれば、内部の知識移転を促進し、外部への知識流出を抑止することが、企業の競争優位の基盤(A Basis for Competitive Advantage in Firms)となる。

本論文で提案した「知識貯蔵庫フレームワーク」は、組織がどのように外部への知識流出を最小化し、内部の知識移転を達成するかを示し、企業の競争優位を理解するためのベースを提供している。すなわち、本フレームワークにより、企業内部の「互換性」を高め、外部への「互換性」をなくすことが、企業の競争優位の基盤の確立につながる、というのが本論文の主張である

(感想)主張は理解できるが、「知識貯蔵庫フレームワーク」はぜひ使ってみたいフレームワークというほどではない。500以上文献からの引用されているのは、競争優位と知識移転を整理したからか。

※1:「Knowledge transfer in organizations(組織の知識移転)」の定義:
The process through which one unit (e.g., group, department, or division)is affected by the experience of another.





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