社会人大学院で学ぶ技術経営

社会人大学院で技術経営を学びながら日々の気づきを書きとめてみます.

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昭和電工のステージゲート

2007年02月03日 | 研究開発マネジメント
化学系製造業である昭和電工のWebページ「研究・技術開発への取組み」によると,昭和電工のステージゲートは,
(0)アイディア発掘
(1)探索
(2)研究
(3)開発
(4)事業
の5つのステージから構成されている.

また,ゲートの評価基準としては,
(1)戦略性(事業との整合性)
(2)技術性
(3)収益性
(4)市場性
(5)社会適合性
を挙げている.

最近はCSRが重視されていることもあり,「社会適合性」を評価基準に加えている.市場性と収益性を分けているが,収益性=市場性×戦略性と考えることもできるだろう.

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日本における研究開発の効率低下の要因

2007年01月31日 | 研究開発マネジメント
「イノベーションの収益化―技術経営の課題と分析」(榊原清則 著)の第一部では,日本企業の研究開発の効率低下の要因に関して興味深い分析を行っている.

本書では,まず第一章でデータに基づく日欧米企業の比較を行い,日本企業の莫大な研究開発費が「収益化(イノベーションの収益化)」に結びついていないという事実確認を行っている.

それでは,なぜ効率が悪いのだろうか?本書では,以下の3つの視点で分析を行っている.

(1)イノベーションの課題が変化しているのに,それを正しく認識できていない.
(2)日本企業の研究開発の「閉鎖性」「内向き」「自前主義」の問題,および専有可能性の低さに関する戦略上の問題
(3)少産少死型の研究開発マネジメントの問題

本書では,イノベーションの収益化(研究開発投資の収益化)こそが日本企業におけるMOT(技術経営)の最重要な課題と位置付け,上記の3点を指摘を行った.たいへん鋭い分析である.ぜひ,一読をおすすめしたい.

以下,その内容を紹介する.

第2章,第3章では上記の(1)(2)(3)に関する詳細な検討を行っている.

まず,第2章では,(1)のイノベーションの課題に関して主要なイノベーションの理論を用いながら3つの課題の変化「プロセスイノベーションからプロダクトイノベーションへ」「連続的イノベーションから不連続なイノベーションへ」「アーキテクチャが所与のイノベーションからその変化を含むイノベーションへ」を示している.

第3章の前半では,シスコとP&Gのケースを用いて米国のオープンな研究開発の成功例を示し,日本企業の閉鎖性が効率低下の大きな要因になっていることを指摘している.また,ゼロックスとシンガー(ミシン)のケースを用いてイノベーションの成果の専有可能性の課題を指摘している.確かに,米国企業はマイクロソフトを筆頭にイノベーションの成果の専有するための戦略にたいへんな重きを置いているが,日本企業は比較的無頓着のようにも見える.本ブログでも注目している製造業のサービス事業化(サービスイノベーション)もイノベーションの収益化の1つのアプローチと言えるだろう.

第3章の後半では,研究開発マネジメントの問題点を検討している.すなわち,個別の研究開発が少産少死で粘り強く頑張ってしまう点(美徳と認識される)が,かえって事業全体としては戦略的効率の低下を招いているという指摘である.

(3)の研究開発マネジメントに関しては,多産多死型のステージゲート/フェーズレビューが欧米では効果をあげている.日本でも,製薬企業や化学系企業ではうまく機能しているように見えるが,自動車や電機メーカーでは必ずしも多産多死型にはなっていないようにも見える(ステージゲート法の日本企業における利用状況).トップダウン型のポートフォリオ管理による合理的なプロジェクト選択をそのまま日本に持ち込んでもうまく機能しない場合もあるだろう.

筆者自身(私)は,プロジェクトマネージャーを含む変革型ミドルが,企業全体の戦略にもコミットしながら,自らプロジェクトの方向性を設定・修正する自己変革型の研究開発マネジメントにより,結果として日本企業のイノベーションの収益化を達成できないかと考えているが,どうだろうか.

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製品開発のジレンマとイノベーション

2006年09月09日 | 研究開発マネジメント
神戸大学教授の延岡健太郎著「製品開発の知識」(第8章)では,製品開発のジレンマ(矛盾,二律背反)についていくつかのパターンを整理している.

(1)コア技術戦略に見る自由と規律のジレンマ
(2)マスカスタマイゼーションに見るコストと付加価値のジレンマ
(3)部門横断プロジェクトに見る専門性と組織統合とのジレンマ
(4)開発パートナーとの関係に見るオープン化と信頼構築のジレンマ

延岡は,これらのジレンマ/矛盾/二律背反を高度な視点から解決できる組織能力の重要性を強調している.ジレンマ/矛盾/二律背反を新しい視点から解消することがイノベーション(=Aufheben(アウフヘーベン))の基本的構図と見ることもできる.

製造業のサービス事業化においても,同様の二律背反を解消しなければならず,その解消がサービスイノベーションであろう.
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ステージゲート法の日本企業における利用状況

2006年03月05日 | 研究開発マネジメント
社会経済生産性本部の技術経営研究センターでは,「日本企業のR&D生産性向上のマネジメントに関する取組状況」という調査レポートを2003年に出している.

この中で,日本企業におけるステージゲート法あるいはPACE法の活用状況のアンケート結果が紹介されている.そこでは,製造業189社のうち26社が現在導入しているとの結果.しかしながら,多くは食品,パルプ・紙,衣料・繊維,化成分であり,電機メーカーは関心はあるものの導入しているところは少ないようである.

「多産多死による絞込み型ステージゲート法は電機メーカーにはフィットしないのではないか」というのが筆者の仮説である.すなわち,ユーザ志向の研究開発プロジェクトの場合,ムービングターゲットに追随して研究開発内容も変化する.プロジェクトが成功するかどうかのカギは変化追従性であり,各ゲートでプロジェクトを取捨選択するというより,ゲートで方向を修正するということが実態なのではないだろうか.

ところで,医薬品メーカーは,フィットしそうな気がするのだが,調査対象企業(12社)では導入されていない.これは,何故なのだろうか.機会があればヒアリングしてみたい.

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ドミナントデザイン

2005年02月05日 | 研究開発マネジメント
今までにない新しい製品が市場に出始めるころは各社が様々な商品を出してくる(プロダクトイノベーション).ところが,ある程度市場が固まってくると,「ドミナントデザイン」が確立し,それ以外の商品は市場から消えていく.その時点からは,プロセスイノベーションにモードが切り替わるというのがMITのアッターバック教授のモデル.確かに,ワープロにしろデジカメにしろ携帯電話にしろ出はじめのころは今振り返れば変な商品も多かった.「手書き文字電話」などは個人的には気に入っていたのだが...

参考文献:イノベーション・ダイナミクス―事例から学ぶ技術戦略
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ステージゲート分析

2005年01月28日 | 研究開発マネジメント
ステージゲート分析とはあまり一般的な用語ではないのかもしれない.ステージゲート法は,研究開発プロジェクトを7つのステージと6つのステージ間のチェックポイント(ゲート)に分け,各ゲートにおける研究テーマの取捨選択に利用しようとするもので,多くの会社で実績がある.ステージゲート分析は,終了したプロジェクトに対して,ステージとゲートの視点から振り返って分析を行う方法論である.システム開発のプロジェクトでは,プロジェクト終了時にプロジェクトの活動サマリーを書き残し,別のプロジェクトで活用するというのは一般的だが,研究開発プロジェクトにおいても,プロジェクト終了時には同様のサマリーを書き残すべきだと思う.ただ,単に作文するだけでは,他人が活用できないので,ステージゲート分析のような方法論が重要となる.
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IBMのIPD革命

2005年01月16日 | 研究開発マネジメント
IBMでは,IPD(統合製品開発)という製品開発プロセスをワールドワイドで採用して成果をあげているとのこと.その内容は本で紹介されているようである.これもIBM流のクォリティマネジメントの一種だろう.⇒
IPD革命―製品開発の変革ソリューション 売れる・儲かる・満足を与える製品開発の仕組み
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