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サブプライムローン問題における金融工学の位置付け

2009年10月12日 | サービスサイエンス
鳩山首相も会員である日本オペレーションズ・リサーチ(OR)学会の学会誌の10月号では、サブプライムローン問題の特集が組まれている。ここでは、金融危機の元凶であるサブプライムローン問題とOR学会の研究テーマの1つである金融工学の関係が述べられており、勉強になる。

まず、サブプライムローン問題には以下の4つの要因があるとしている。
(1)米国の過剰(住宅)投資と新興国の過剰貯蓄のグローバルインバランス
(2)米国中央銀行の金融緩和の長期化(投資の引き締めをしなかった)
(3)複雑な証券化に対する金融機関や格付機関の不十分なリスク管理とモラルハザード
(4)金融仲介システムへの規制・監督の不備

(1)(2)は、新興国の余ったお金が米国に流入し、住宅の将来の値上がりを根拠に、「収入なし・職なし・資産なし」の人にまで、住宅ローンを貸してしまう非常識的な環境を作り出してしまったという話。

(3)(4)は、金融工学を駆使することで、複雑な金融リスクの証券化が可能になった。証券化が適切に行われていれば問題はないが、複雑すぎて最終的にリスクを負う人に、証券化の様々な前提条件が見えなくなり(見えなくした?)、手数料を稼ぎたい仲介者のモラルハザードの余地を作ると共に、破綻が顕在化した時に、見えないことによる不安が世界中を襲ってしまい、パニック的な行動を誘発したという話。

金融工学は単なる道具であり、うまく使うか否かは使う人次第という言い方もある。しかし、金融工学の複雑さが、「収入なし・職なし・資産なし」の人にお金を貸すという人間の直観的にはおかしなことを生み出してしまうとすれば問題である。自動車においては、運転は人間の直観的な操作感覚を大事にしつつ、それを影でサポートする技術(パワステ、ABS)を開発している。金融工学においても、リスクを負う人間の直観的な判断力を大事にする技術開発を行うべきではないだろうか。

関連文献:
サブプライム問題の正しい考え方 (中公新書)

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