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社会人大学院で学ぶ技術経営

社会人大学院で技術経営を学びながら日々の気づきを書きとめてみます.

プロジェクト知識の移転・継承は暗黙的で難しい

2006年08月30日 | 知識移転・知識継承
研究開発や製品開発における知識移転・継承の実証研究は多い.

しかし,その多くは技術や製品に関する知識を扱っており,研究開発や製品開発プロジェクトを成功させるための知識は扱っていなかった.

青島・延岡は文献「プロジェクト知識のマネジメント」(組織科学,31(1), 20-36 (1997))で,「プロジェクト知識」を定義し,その移転・継承について考察を行っている.

プロジェクト知識とは,プロジェクトの推進の中で創造される知識である.青島・延岡は,プロジェクト知識を「システム知識」/「過程知識」×「製品・技術」/「組織」の4象限で分類・整理した.

プロジェクト知識は暗黙的であり,プロジェクト間の移転・継承が難しい.青島・延岡の自動車産業での実証研究では,プロジェクト知識の移転・継承のためには,
(1)プロジェクト間の人的移転
(2)複数のプロジェクトをオーバーラップさせる
の2つが有効であると述べている.

青島・延岡の研究は,どちらかと言えば,自動車の新機種開発のように「成功させなければならないプロジェクト(=成功確率が高い)」が対象であったが,研究開発の場合は,自動車開発のように成功確率は高くない.その場合,プロジェクト知識やその移転・継承に何か違いがあるだろうか?

今後の研究課題の1つであろう.