goo blog サービス終了のお知らせ 

社会人大学院で学ぶ技術経営

社会人大学院で技術経営を学びながら日々の気づきを書きとめてみます.

ありたい姿(=主観)が未来を創る

2005年03月15日 | 技術経営
2005.03.15
ありたい姿(=主観)が未来を創る
例えば,ポジショニング理論における「ポジション」もリソースベーストビューにおける「リソース」も同じ企業は,必ず同じ戦略を採るだろうか?「知識ベース企業理論(Knowledge-based Theory of the Firm)」では,ポジションやリソースだけでなく,企業が組織として暗黙的に持っている「ありたい姿」が戦略決定に大きな影響を与えると言っている.すなわち,企業の存在意義は「ROIを最大化すること」だけではなく,「ありたい姿の達成」にあるという考え方である.マーケティングの領域でも,最近は「主観」や「アンビション」の重要性が言われている.つまり,マーケットを客観的に分析してニーズを認識するという立場から,自分自身も顧客であり,マーケットにおけるありたい姿を主観的に考え,それを具現化する立場へのパラダイムシフトである.基本的な欲求は満たされ,将来が不確実な時代においては,「ありたい姿(=主観)」と合理性の両方の視点から,企業戦略,マーケティング戦略,R&D戦略を決め,主客一体となって未来を創っていく時代なのかもしれない.

自然科学の実験室=社会科学の対話の場

2005年03月15日 | 技術経営
経営学,特に企業戦略論おける理論/モデルの役割はなんだろうか?結局は,うまくやった企業の後付の説明でしかないという批判もある.しかし,筆者は理論/モデルにより,現実の本質的な理解が深まると思う.すなわち,社会科学においては,現実の深い理解は「対話(=dialog)」によってのみなされる.理解を深めるための対話には,論点を明確化するための理論/モデルが不可欠である.理論やモデルがない議論では,往々にしてお互いに噛み合わない一方通行の発言の繰り返しでしかない.自然科学では,理論やモデルを検証し,現実の理解を深めるために実験室で「実験」を行う.社会科学において,「実験」が「対話」に対応している.良い研究室は,良い「実験室」の代わりに良い「対話の場」を持っている.良い対話の場を具備することこそが研究室のパーフォーマンスを高めることができる.