1週間に1回,晩酌を休むことにしている。日曜日をその日に当てているが,しばしば繰り延べることがある。今夜もそうだった。食卓に並んだ天ぷらを見てビールを飲むのがこらえられず,明日に繰り延べることにした。
週一の休肝日はずいぶん前に医者に言われたことがあって,その時は2ヶ月ほど守ったのだが,長続きしなかった。最近,血液検査の数値を見たかかりつけのドクターから真剣な顔で忠告されたので,ここのところ週一休肝日を実行している。
酒は好きだが,本来強い方ではない。20年ほど前に遺伝子診断をしてもらったところ,飲んだ時の表現型に遺伝子型がぴったり符合していた。酒の酔いに関わる遺伝子座で効果の大きいのが二つあって,それぞれアルコールとアルデヒドの分解酵素の活性を支配している。一番酒に強いのは,アルコールの分解速度が遅く,アルデヒドの分解速度が遅い遺伝子型である。酒を飲んでも酔いの原因であるアルデヒドの生成がゆっくりで,そのアルデヒドもすぐに代謝されてしまう。だから酒豪である。ただしこのタイプは,肝硬変になる可能性が高い。私はアルコールの分解が早く,アルデヒドの分解は中程度の遺伝子型で,飲むと顔が赤くなり,酔っぱらうのが早いという性質(表現型)が裏書された。
歳とともにさらに酒が弱くなった。夕飯のおかずによって,日本酒,ビール,ワインと飲み分けているが,寮は日本酒で120ml程度である。そのせいか,飲酒が原因で高くなる肝臓のγGTPの値が,血液検査を始めた50年来,初めて正常値になってきた。女房殿に対してはこの値を錦の御旗にして,晩酌を続けている。