草 間 彌 生
所用で松本に一泊二日で行ってきた。
列車を待つ時間が余ったので、久しぶりに松本市美術館を訪ねた。
この美術館の売り物は、何と言っても草間彌生さんの作品群である。正面の壁は彼女を象徴する水玉で埋め尽くされ、前庭には巨大なオブジェが置かれている。
館内の三階は、大部分草間さんの作品で占められている。「魂の灯」をはじめとするいくつかの部屋で水玉や電飾から,合わせ鏡を巧みに使って三次元的な永遠の空間を出現させている。自分の姿もその中に置かれ,無限のかなたまで続いているのを見ると、不思議な感覚に襲われる。松本市美術館ならではの経験である。
草間彌生さんは松本市のご出身。松本高等女学校でわたしの姉と同級だったので、93歳のはずだが、今なお製作に励まれているという。
草間さんは、在米時代の過激なパフォーマンスからスキャンダラスな噂を流されて、故郷から爪はじきされたこともあった。しかし,前衛モダンアートの旗手として国際的に評価が定まり、数々の賞を獲得するに及んで、松本市は改めて故郷の誇りとして草間さんとその作品を迎え入れ,美術館は多くの観光客を呼んでいる。
なんとなく,石川啄木の「石をもて おはるるごとく ふるさとを 出しかなしみ 消ゆる時なし」を,連想してしまう。
わたしは、彼女の作品が好きであり、そのテーマとする「永遠、命、平和」に共感する。
館内で唯一写真撮影が許されている「大いなる巨大な南瓜」(草間彌生2017年)
STOP WAR!