二つの”田”にご用心
日銀の黒田総裁は，6日に行った講演で，「家計の値上げ許容度も高まっている」と発言して批判を浴び，その火消しに大わらわとなっている。その根拠とした渡辺東大教授の調査結果も，この発言のための我田引水だった趣があるらしい。黒田総裁はデフレからの脱却を目指して2％の物価上昇を企図していたが，物価の上昇が賃金上昇を基礎にしてという目標は達成できていない。そこで，いろいろ言い訳をしているが，庶民の懐をあてにして物価上昇を容認し，デフレ脱却を糊塗しようとする，衣の下の鎧が見えたような気がする。
岸田首相は，5日にロンドンで行った講演で，「2千兆円にのぼる日本人の個人金融資産の半分以上が預貯金であり，これを投資に誘導して活用する仕組みを作りたい」と述べた。資産の投資に振り向ける割合が，確かに欧米に比べて日本では低いことが指摘されている。これは，虎の子の資産をリスクにさらしたくないという，日本人の心理が働いていると説明されている。では，岸田さんはどんなものを用意して，個人資産を引き出そうとするのか。大いに目を凝らして見抜く必要がある。
ふところにご用心，黒田・岸田の二つの”田”は要警戒である。
梅雨には紫陽花がよく似合う
土浦市にて6月8日撮影
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