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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



浦和レッズ 2対0 ヴァンフォーレ甲府
(2007/3/17 TBSテレビ)

浦和の閉塞感を打開したのは、ポンテの個人力だった。ポンテの広い視野と正確なパス技術が、浦和の2得点をアシストした。

0対0で迎えた後半、左サイドでポンテのヒールパスを受けた闘莉王がダイレクトでクロスをあげた。それを、センターでディフェンダーよりも体ひとつ前に出たワシントンがゴールに流し込んだ。

2点目も左サイドから。ポンテが右足アウトサイドで甲府の最終ラインとゴールキーパーの間の微妙な位置にクロスをあげ、やはりワシントンが一度はGKにはじかれたものの、こぼれたボールを冷静にゴールに蹴りこんだ。

幻となった3点目もポンテがディフェンダーと競り合いながら、フォローにはいったワシントンに丁寧なパスを提供した。ワシントンがダイレクトで右足を振りぬいていれば、ハットトリックを達成していただろうが、ワントラップしたために甲府のディフェンダーに寄せられて、ゴールを阻まれた。

前半から浅いラインを保ち、丁寧に細かなパスをつなぐ甲府のペースで進んでいた試合だった。浦和は、強引過ぎるシュートで、何度かチャンスをつぶしていた。選手同士の意図の疎通が十分でなく、味方に対してクレームをつける姿が目についた。ゼロックスカップでの大敗以降、シーズンが始まっても、思うようなサッカーができていない浦和。この試合でも、余裕の表情のなかに、募るイライラも感じられた。

しかし、そんな浦和の嫌な雰囲気を、ポンテの軽やかなプレーが消しさった。ポンテのプレーの特徴は、いつでも、どんなときでも、体に無駄な力が入っていないことだ。そこから配給されるやわらかなパスはシューターにとって絶好のものであり、軽く蹴りだされるシュートは、ゴールキーパーをあざ笑うようにゴールに吸い込まれる。

2点をリードした後半30分。浦和は、ネネに代えて長谷部を投入。最終ラインが坪井、闘莉王、阿部。中盤が、鈴木(啓)、長谷部、山田、小野、ポンテ。そして2トップが永井とワシントンとなった。今シーズンの浦和が理想とする豪華な布陣になった。

前年度の2冠王者、浦和レッズのエンジンが、いよいよ温まってきたようだ。


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