野球の日本代表が、フィリピン、韓国、台湾に勝ち、北京オリンピック出場を決めた。
台湾で開催されたアジア地区最終予選。初戦のフィリピンにはコールド勝ちしたものの、韓国に1点差、そして台湾には逆転勝ちという、接近した内容の試合をものにしたのは、やはり勝負へのこだわりだった。
韓国に勝った後のインタビューで、捕手の阿部は、心底疲れきった表情を見せた。日本一になった中日の投手陣には、自分の役割を果たせたことへの満足感が満ちていた。
そして、台湾戦。逆転された後、同点のチャンスでのスクイズ。星野監督の北京オリンピックへの思いが表れた瞬間だった。勝つことの難しさを知っているからこその采配だった。そして、試合後の胴上げ、インタビューでの涙。これは、甲子園大会か、日本シリーズか……。
ぼくは、日本代表がこの大会で勝って、オリンピックの出場を決めても、そんなシーンを見ることはないと思っていた。勝って当然のように、淡々としているのではないか、と想像していた。
今回の日本代表チームは、充実感のあった投手陣にくらべ、打撃陣に迫力を欠いた。しかし、それだからこそ、日本的なつなぐ攻撃で勝利をもぎとったといえる。その結果の胴上げや涙も、とても日本的だった。
オリンピックの舞台で、「ベースボール対野球」を見るのも悪くないと思った。そして「野球」が世界を制するのを見るのも。
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