三鷹のU先生が廃棄処分するという資料のなかに、表紙に1974年のワールドカップ・西ドイツ大会のエンブレム“WM74”が大きく印刷された、FIFAの機関誌FIFA NEWS1972年12月号を見つけた。夢中になって見た1974年のワールドカップには、特別な思い入れがあり、関連する本や資料には、ついつい目がいってしまう。
中をめくると、本大会のチケットの値段表があった。開幕戦、1次リーグ、2次リーグ、3位決定戦、決勝戦に分かれていて、それぞれカテゴリー1から5までの5種類の席が用意されている。スタジアムによって違うが、全部で6万人のところでは、屋根で覆われているカテゴリー1と2が1万席づつ、屋根のないカテゴリー3と4が5000席づつ、そして、残りの3万席がカテゴリー5で立見席という想定になっている。今では信じられないが、スタジアムの観客の半分は立ち見だったのだ。
気になる値段はというと、決勝戦のカテゴリー1が80ドイツマルク(以下DM)で約8800円。同2が60DM(6600円)、同3が40DM(約4400円)、同4が30DM(約3300円)、立ち見席のカテゴリー5が15DM(約1650円)だった。ちなみに、一番安い席は、1次リーグと2次リーグのカテゴリー5が、同じ10DM(約1100円)となっている。来年のドイツ大会の決勝戦のカテゴリー1は、600ユーロで約81000円。32年間でだいたい10倍になったことになる。
予選参加国は、1974年大会の95カ国(協会)から2006年大会は194カ国(協会)へと倍以上に増え、本大会出場国も16カ国から32カ国へと倍になった。ワールドカップは、それだけ世界中の注目を浴びる大会となり、そのチケットは世界中の人々が欲しがる超プレミアチケットになっている。しかし、スタジアムの観客収容人数はあまり変わらない。むしろ、安全のために立ち見席をなくしているので、減っているかもしれない。こう考えると、チケットの値段の高騰はしかたがない。(もっとも、基本的な経済的な変化(=物価上昇)の影響の方が大きいのだが…。)
その希少性からワールドカップのチケットの値段が高くなるのは認めるが、その値段に見合ったサッカーを観ることができるのだろうか。はたして、クライフやベッケンバウアーが活躍した1974年西ドイツ大会の10倍も魅力あるサッカーが、来年ドイツで繰り広げられるのだろうか。
注)当初、2006年大会の予選参加国を204カ国(協会)と書いていましたが、194の誤りでした。申し訳ありません。
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