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憲法を邪魔に思っている人びと…礒崎発言

2015-08-02 21:30:00 | セイジ
 安倍さん(首相)の側近中の側近の礒崎陽輔さん(いそざき・ようすけ、首相補佐官)がどえらい発言をしました。
 「法的安定性は関係ない」と、そこだけ取り出しては何のことか分かりませんが、要するに、今は自衛隊がアメリカ軍と一緒に戦えるようにすること(集団的自衛権)が最も大事なことで、そのためにはいつまでも憲法にこだわっていることはない、憲法の解釈をどう変えようとそれはわれわれ為政者の自由ではないか、というのです。
 政府のそのときの思いひとつで憲法がさまざまに解釈されては、私たち大衆の運命も政府の思いひとつで変えられることになるでしょう。
 そんな憲法はもう憲法とは言えません。

 しかし礒崎さんの発言は、実は、権力を握っている人たちが、憲法をどんなふうに考えているか、そのことをとても分かりやすい形で私たちにあらわに見せてくれたのです。

 近代の憲法はもともと国王や政府など、そのときの為政者が勝手な政治をしないよう、かれらの権力を制限するために生まれてきました。
 大衆の日々の暮らしを権力者から守るために作られたのです。
 戦前の明治憲法は、日本が近代国家の外観を整えるために急いで「上から」作ったものですが、これは近代憲法のほんとうのあり方からすれば、逆立ちの憲法だったというわけです。

 ですから、権力を握っている人たちにとって憲法というものは、もともとうるさいものなのです。
 じっさい、今日の日本国憲法の、とりわけ第九条があるおかげで、日本の権力者は日本の大衆を兵士に仕立てて海外へ送り出すことができません。
 中国や韓国との間で起こっている領土問題も、昔ならすぐ軍隊派遣ということになっていたでしょうが、それができないので、外交に知恵を絞って解決を目指すことになるのです。
 日本の外務省にもっと知恵のある役人がいれば、もっとスムーズに解決へ向かって進むでしょうが、そんな有能な人材がいないものですから、いつまでもモタモタを続けているのです。

 むろん安倍さんにとっても憲法は目の上のたんこぶで、ほんとうは憲法を変えて日本をアメリカと一緒に戦争のできる国にしたいのでしょうが、当面それが無理だと分かってきたので、まずは憲法に都合のいい解釈をほどこして、戦争への道を広げようとしているのです。
 礒崎さんの発言は、今のところ周りの高官たちの画策で、政府の中でも浮き上がったものに見えるよう、さかんにカモフラージュがほどこされていますが、実際のところは、安倍さんの思いをもっとも率直に述べたものだといえるでしょう。

 私たち大衆は、憲法がもともと権力者のためのものではなく、私たちのためのものだということをこの機会にもういちど確認して、この問題を考えてみる必要があるのでしょう。  
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