そんな太古の時代に地球に君臨した“神々”に関係するとされているのが魔道書“ネクロノミコン”です。
ネクロノミコンは730年にアラブの詩人“アブドル・アルハザード”によって書かれたものです。
ネクロノミコンというのはギリシャ語に翻訳されたときの題で、原本は“アル・アジフ”と呼ばれています。
アルハザードは世界を放浪するたびに出ていました。
その中で、ある廃墟にたどり着きます。
そこは、人間の作ったものではないようでした。
旅をダマスカスで終えたアルハザードは、ダマスカスに建設した自室にこもり、“アル・アジフ”を書き上げます。
神を冒涜する内容が書かれたこの本はアルハザードが厳重に保管していました。
ところが、738年にアルハザードは広場の大通りで、大勢の市民が見ている前で突然血まみれになって死亡します。
その最期を見ていた人物は、「まるで見えない化け物に食われているようだった」と言っています。
そしてネクロノミコンは、アルハザードの不可解な死後、錬金術師や魔術師によって写本が繰り返され、ひそかに受け継がれていくのです。
内容が内容のため、時の権力者や教会によって何度も焚書(ふんしょ)処分されますが、そのたびに焚書を逃れた何冊かは闇から闇へと渡っていきました。
現在ではネクロノミコンの写本は世界中で11冊しか現存しておらず、その場所がわかっているのはわずかに5冊です。
しかも、現在残っている本は原本の一部のみで、長い年月の間にその多くは失われていると言われています。
肝心の内容ですが、その内容はあまりに重いため、常人が読もうとすると理性と人間性を知識の代償として失います。
しかし、そうした代償を支払った後には超常的な力を手に入れることができると考えられています。
例えば、時を越える能力、異世界からの怪物を召喚・もしくは異世界に怪物を引き戻すことなどができるようです。
この魔道書、もしかしたらそのへんの古本屋にひょっこりあるかもしれませんよ?
もし手に入れることができたら、こっそり読んでみて下さい・・・
しかし、読んだ結果何が起こるのかは私にはわかりかねますが・・・
以下、ネクロノミコンの真実についての記述です。
ここまでも長文なのにやっぱり長文なので、元気がある方はどうぞ。
さて、いかにも実在するかのように書いたネクロノミコンですが、実はある作家の創作したアイテムです。
その作家とはアメリカのホラー作家であるハワード・フィリップス・ラブクラフト(1890~1937)です。
ラブクラフトは自身の作品に、それまでにない恐怖を取り入れたいと考えました。
幼いころから天文学に憧れていたラブクラフトは
「人間は粋がっているが、宇宙から見ればちっぽけなもの」
ということを恐怖小説に取り込むことを考え出すのです。
まず、別々の作品の中に架空のアイテムや名前を繰り返し登場させました。
すると、まるでそのアイテムや名前が、実在のようなものに錯覚されます。
そのうえで、「この世界を支配していた太古のもの」を登場させていきました。
のちに、“クトゥルフ神話”と呼ばれる全く新しい神話がこうして誕生しました。
その中でも、もっとも有名なものの一つが“ネクロノミコン”なのです。
さらに、クトゥルフ神話に魅せられた小説家たちは、自分たちの作品にも神話に登場する神や架空のアイテムを取り入れていきました。
また、自分たちで考え出したアイテムを神話に加えていくことでクトゥルフ神話を広げていったのです。
まさに世界中の小説家による神話の創世こそがクトゥルフ神話と呼べるものではないでしょうか?
ちなみに僕の好きなマンガ「スプリガン」に登場するアーカム財団の名称も、クトゥルフ神話に存在する架空都市アーカムから取られています。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます