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推薦アニメ ~ゲド戦記を観ての感想と考察~

2006-09-04 | 推薦マンガ/図書・推薦アニメ
観てきました。
ゲド戦記。
なにやら酷評されていたのであまり期待せず観に行ったのですが・・・


面白いじゃあないかい!!
しかし、世間の酷評も多少理解できます。
原作つきというからには何とかして欲しかった部分を、一般的な批評とともに考察してみようかなと思います。


一般的にいわれているのは以下のようなことです。
1.脚本がひどくて内容が理解できない。
2.エンターティメント性に欠けていて面白さが伝わらない。
3.映像がところどころひどくなる。
4.原作の意向が反映されていない。



長くなるといけないので今回は1と4のところを考察してみます。
できるだけ客観的に考えているので、否定的な意見は多くなりますが僕自身はこの映画大満足です。

以降はネタバレを含みますので、未見の方はご注意を。


まず、1ですが映画というのはまとまった一つのストーリーであるということが言えます。
つまり、多くの映画がそうであるように、映画内で起こった事件や主人公が起こした行動は全て理由と説明があるものだというのが一般的です。
しかし、今回の“ゲド戦記”はそういった理由や説明は、ほとんど劇中で触れられません。
・主人公のアレンが父王を刺してしまったのはなぜか?
・アレンとゲドの旅ででてきた廃墟にはなにが起きたのか?
・アレンを追っている影とはなんなのか?
・ゲドとクモの過去に何があったのか?
・テルーが突然竜になったのはなぜか?
・テナーの過去、墓所で起こったことは?

などなど他にもまだまだあります。
その多くは原作を見ないと判明しなかったり、もしくは創造力で補うしかなかったりします。
これは、少し詰め込みすぎたかなと思います。
どの人物も原作、映画ともに重要な人物なので監督は大事にしたかったのでしょう。
ただ、短い時間の中には収まらないほどの情報を観客に与えるのはちょっとやりすぎかな?
そういう意味では“ブレイブ・ストーリー”の方が良くまとまっていると言えるのではないでしょうか。


・・・とここまでが客観的な意見。
ここからはマニアな人間の意見なのであまりお気にはなさらずに。

映画ではわからない部分を、自分でいろいろ調べていくことで明らかにするというのは実にマニア心くすぐる手法です。
ガンダムだって、スターウォーズだって、エヴァンゲリオンだって一回観ただけじゃわけわからないです。
例えばガンダムには“シャア・アズナブル”という人物が出てくるのですが、この人物は「ルウム戦役(せんえき)」で活躍した人物らしいです。
じゃあルウム戦役ってなんだ?って考えても作中ではそれ以上触れられないのです。
しょうがないから調べる、すると今度は「ブリティッシュ作戦」て言葉が出てくる。
仕方ないから調べると、今度は・・・
こんな感じでわからないことがわからないことの連鎖を生むのです。
それを調べていくことで、わからないことがわかるようになる・・・
これが楽しいのです!
ちなみに調べてもわからないところは創造力で補います。
そして、それをいろんな意見のヒトとぶつけ合うことで新しい考え方が生まれていくのです。

まぁ、ヒトそれぞれ違うから・・・ って言われるとお終いですけどね(笑)


次に4ですが、一般的には原作と違いすぎるようです。
また、原作者に言わせても「私のアースシー(ゲド戦記の原題)とは違う。」らしいですね。
やはり、原作者としては“原作に忠実に”というのが正直な意見だと思います。
自分が生涯かけて生み出し、世界中の人に愛されている“我が子”を、他人の手でいじくりまわされて全く別なものにされてしまうのは耐えがたいことだと思います。
原作者のコメントにあるように
「わたしの物語と同じ名前の人物が登場するのに、まるで違う気質と経歴と運命を負っているため、混乱してしまった」
というのはごく当然な話ですし、原作者を失望させたという点ではこの作品は失敗しているかもしれません。

原作者を失望させ、原作を呼んだファンを混乱させ、映画しか観ていないファンには疑問を残す・・・
これでは多くの人々は悪い印象を抱くのは当然です。
原作に忠実に行なうか、新規ファンが理解しやすいように作るか。
どちらかを満たしてほしかったとは思います。


以上、考察終了。
さて、僕個人としては原作を見ていなかったのでそれなりに楽しめたというのが正直な感想です。
僕たちが生きている中で、理解できないことはたくさんあります。
しかし、それを理解しようとすることで知識と創造力がついていくのです。
原作には忠実ではないかもしれないけど、映画の中のアレンは苦悩し、自分なりの答えを見つけたのです。
そして、映画の中の人物たちにはそれぞれの人生と、未来があります。
その未来や人生を、いつか別の機会に表現して欲しいと思いますね。
全てのファンに納得行く形を提供するのも、原作つきの映画としての役割ではないかと思います。

まぁ、なんだかんだ言いましたが、謎がなんだったかを想像することは楽しい作業ですし、考える力が低下している現代だからこそ酷評されてしまった映画だと思います。
もし、監督が原作つき映画ではなく、オリジナルの映画を作り出したとしたらこれほどの波紋は広がらなかったのではないでしょうか?
宮崎吾朗監督の次回作品はぜひ、オリジナルなものを期待します!



追記
おぉ・・・、打ち合わせしたわけでもないのにtoxinさんlotusさんにかぶった・・・
まぁ、一緒に観にいったししょうがないかww

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
観たい (Tico)
2006-09-04 14:20:21
ゲド,まだ観てません.

よって,ネタバレ以下も読んでません.

うぅぅ…観たい,読みたい...でも学会がぁぁぁぁ



例によってぎりぎりなのですよ
返信する
忙しいからねぇ。 (ぶふぉ)
2006-09-04 16:44:52
Ticoさんは忙しいから大変ですねぇ。

ネタバレのところでも触れたのですが、エヴァに比べたらわかりやすいです(笑)

おそらく、Ticoさんは“ゲド戦記”好きじゃないかなと・・・
返信する
9月下旬まで (Tico)
2006-09-05 12:44:00
やってるかな,ゲド.

学会終わってからじゃないと見に行けない~~.



エヴァより分かりやすいのね.

過呼吸も起こらなそうだし(笑)



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