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龍の末裔 第61話

2007-12-17 | 小説
レイ皇王の警護をドラグナーズの一人に命じ、ブランは正門へと向かった。
会議が行われていた皇王の居城から正門まではおよそ二十キロマルト。
最新鋭のマルクでも二十分はかかる距離だが、ドラグナーズには関係が無い。
最高時速百キロマルト毎時を誇る最速の飛行生物、ワイバーンのおかげだ。
愛竜オロチに跨り、先ほどから降り始めた雨の中を急ぐ。
雨粒がつぶてとなって全身を打つが、痛みは不安を打ち消してくれるのにちょうど良かった。

城壁の上にはすでにドラグナーズと陸戦部隊第七師団が集結していた。
敵の襲来からわずかに数分。
臨戦態勢とはいえ、これだけの短時間で終結できるのは、日々の訓練が無いと難しいだろう。
それだけ鍛えられた軍隊をヴァルド・ライツは有しているということになる。

「敵はどこだ?」
ブランがドラグナーズの副官ウルハルを呼び出した。
「はっ、二時の方向、ギドナの丘の上であります。」
雨はさらにひどくなっていた。
雨季でもないのに、こんなにも雨が降るのはこの地方では珍しい。
まるでこれからの戦の行く末を何か暗示しているかのようだった。


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