ポルトガルの空の下で

ポルトガルの町や生活を写真とともに綴ります。また、日本恋しさに、子ども恋しさに思い出もエッセイに綴っています。

悲恋の王と愛妾が眠るサンタ・マリア修道院

2017-09-08 07:45:08 | ポルトガル旅行
2017年9月7日 

ペドロ(男性の名前)、イネス(女性の名前)と言えばポルトガルではありきたりの名前ですが、小学校の歴史教科書にも必ず記述される14世紀のポルトガル王家「ペドロ王子」と「イネス」は悲劇の純愛の代名詞ですす。

その二人が眠るのがリスボンから北へ120キロほど行ったアルコバッサの「サンタ・マリア修道(Mosteiro de Santa Maria)です


12世紀にポルトガル初代王アフォンソ1世が建てたこの修道院はポルトガルに於けるシトー修道会初、国内最大のゴチック建築で、ユネスコの世界遺産にも登録されています。

イネスは政略結婚でスペインのカスティーリャ王国からペドロ王子に嫁いできたコンスタンサ姫の侍女でしたが、ペドロ王子に見初められます。しかし、スペインとの関係に危機感を持った父王は、イネスの暗殺を命じます。後にペドロ1世国王となった彼は愛妾の遺体を掘り起こし、王妃の玉座に据えたといわれます。

サンタ・マリア修道院の圧巻は、戴冠後即座にペドロ1世が造らせた美しい細工のイネスと王の石棺です。二人が目覚めた時に最初にお互いの顔が見られるようにと、向かい合わせに設置されています。

また、「Roda de Vida(人生の車輪)」と呼ばれる装飾には二人の恋の歴史が彫刻されています。


華美な内部装飾を極端に控えた禁欲的なシトー派修道院に愛妾と向き合っ、てポルトガル随一の緻密で美しい石棺を納めさせた王の狂気の愛がうかがわれます。

イネスの石棺

ペドロとイネスの恋物語に興味のある方はこちらに詳しく書いてあります。
コインブラ:涙の泉
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする