ポルトガルの空の下で

ポルトガルの町や生活を写真とともに綴ります。また、日本恋しさに、子ども恋しさに思い出もエッセイに綴っています。

ドウロ川渓谷:先史時代の岩絵を見に3

2022-03-21 21:44:03 | ポルトガルよもやま話
2022年3月21日

コア渓谷の岩絵の存在は古くから噂があったと言われる。話題に上り世論を沸かせたのは20世紀に入ってからだ。1995年にポシーニュダム建設予定地としてコア渓谷の調査を開始したところが、渓谷沿い数キロに渡り岩絵遺跡群が発見されポルトガル政府はダム建設を中止した。現在はスペインのSiega Verde(スェガ・ヴェルデ)一帯の岩絵群も加わり、世界遺産に登録されている。


四駆ジープを降りて本の少し歩きます。 


案内人の女性は古学者であろうと推察。説明がとても面白かった。夏のきつい日差しアレルギーがあるわたしは太陽光線を避けるため完全武装で出かけたというのに、この方、それに同グループの若い人たちはみんな強い日差しなどお構いなしですw


これまでに発見されている岩絵の多くは洞窟に描かれているのに対し、コア渓谷のは世界でも最大規模の野外岩絵だそうです。


案内女性のポルトガル語フランス語の説明が一通り終わったところで質疑応答です。



1万年、2万年前の岩絵を前にした時は何本もの線が重なった絵であるため分かりにくかったのですが、しばらくじっと見ている間に漸く絵が見えてきました。


拡大してみましたがわかりますか?「↓1」は牛もしくは馬の横向きの顔の部分です。

「2↓」は牛です。角を含めて体全体が描かれています。腹部の膨らみ具合、頭部の動物の特徴を見事にとらえた素晴らしい線画です。 


人間のみが古代からこのような芸術性を備えていたのに感嘆します。岩の面に幾重にも重ねて線画が描かれているのは、この面が描きやすかったのだろうかと色々思考をめぐらしてみる。



描かれている絵はどれも幼稚なものではありません。見事に活動的に描かれています。

すぐ側に今では小さくなった小川も見られます。古代にはここは魚捕獲の場でもあったのでしょう。




本の少しだけ岩山を上ります。ここにも数多くの岩絵が刻まれているとのことですが、ここより上はツーリスト踏み入れ禁止です
 

Penescoaでは3箇所の岩絵を見て、山小屋を後に出発点のCastelo Melhor(カステロ・メリョール)へと引き返し所要時間はほぼ1時間半。写真から分かるようにこの日が曇り。出かける前にポルトガル人の知人に散々脅されていたもので高温でなかったのは、わたしにとって幸運でした。


下はVila Nova de Foz Coaの小さな町とモザイクタイルです。


ここにも岩絵が使われています。


Foz Côa先史時代の岩絵はこれで終わりです。
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ドウロ川渓谷:先史時代の岩絵を見に2

2022-03-15 22:35:21 | ポルトガル旅行
2022年3月15日

ロックペインティング、つまり岩絵と聞けば、レイフ・ファインズ主演の映画Inglish Pacientの冒頭シーンが思い浮かぶ。



筆で何かをなぞっているのだが、それはサハラ砂漠にあるCave of Swimmers(エジプト)の岩絵のひとつなのであった↓


岩絵の代表的なものと言えばアルタミーラ洞窟壁画だろう。(1万400年程前)


随分昔になるが、子供たちが幼かった頃、家族旅行でピレネー山脈を越えた1980年代初期に、わたしたちはこの洞窟絵を見に立ち寄ったのだ。今ならpcで前もって調べていけるのだが、その時は情報もなく直に訪ねた。しかし、日に数人の限られた人数でしかも予約でしか入ることができず、諦めざるをえなかった。現在は外気に触れて痛みがひどくなっているとのことで非公開である。

若い時分からオーパーツが好きなわたしわたしは古代の興味深い岩絵を本の中で幾つも目にしてきた。


↑同じくサハラ砂漠(アルジェリア)、タッシリ・ナジェールの岩絵。


↑イタリア北部ヴァルカモニカ岩絵のひとつ。約1万年前のものと推測される。

非常に興味深いものでは、ウズベキスタンのパイロットと呼ばれる紀元前に描かれたとされるフェルガナ岩絵.がある。ここには明らかに宇宙飛行士と未確認物体が描かれている。これを見てわたしは大いに人類起源史に想像を膨らましたものだった。



さて、古代のロック・ペインティングの殆どが洞窟で発見されているのですが、コア渓谷には洞窟がなく岩絵は野外でそのままむき出しになっています。岩絵は60数箇所で発見されているそうですが、現在訪問できるのは「Canada do Inferno, Penascoa, Ribeira de Piscos」のは3箇所のみで、(下図の青○の所)予約を入れ7、8人のツアーで行きます。



わたしたちが今回訪れたのはPenascosa(ペナスコーザ)の岩絵です。総人口が220人ほどの集合場所、Castelo Melhor(カステロ・メリョール)という小さな村に入ると目前に見えてきたのがピラミッド型の小さな山です。



う~む・・・ここの岩絵に上記のようなオーパーツ的絵が発見されたとしたら、この山も発掘してみる価値があるかもと、しきりにカメラを向けたのでありました^^;


ここからジープで出かけること、往復1時間半のコースです。ここから先の道は一般者は入れません。


わたしたち3人を入れて8人のツーリストで午後4時半に出発です。前方に見えるのが道。昨年訪れたポルトガルの秘境の山道に劣らず(後記にて案内)狭い凸凹道で冷房なし(笑)なもので、土ぼこりをモロに被ります。

この日の女性ガイドさん、説明が実に上手く楽しい人でした。帽子、グラサン、首には大きなスカーフ、長袖にもちろん長パンツ、更に手袋姿のわたしを見て、完全武装ね!と笑っておりました。彼女の説明によると、夏は50度を越えるのが普通なのだが今年はいったいどうしたの!というくらい気温が低い30度以下、この日の天気は曇って陽が隠れていたので半死を覚悟していったわたしなどは大助かりと言うもの。


15~20分ほどして岩絵が見られる現場に到着しました。

あたりはゴツゴツした岩山です。


続きは次回に。
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ドウロ川渓谷:先史時代の岩絵を見に1

2022-03-15 00:50:58 | ポルトガル旅行
2022年3月14日

帰省していた息子を連れ立って親子3人でポルトガル北部のドウロ川上流にあるFoz Coa(フォス・コア)の辺りを2日間回って来た夏のこと。Foz Coaの正式名はVila Nova de Foz Coaといいスペインの国境も近いところです。



地図から分かるようにドウロ川はスペインを水源としポルトで大西洋に流れ込む全長897mの川です。Douroはケルト語で「水」を意味すると言われます。



当初、今回のフォス・コア行きにわたしはあまり乗り気ではなかったのです。何しろ8月中旬のドウロ川上流は1年中でも最も気温が高い時期で通常は47~50度を越えると言われます。ドウロ川上流はこれまでに2度のクルーズのダム越えとSLの旅でTua(トゥア)まで行っています。

先月のシントラ歩きでうっかり手袋と帽子を持つのを忘れ、顔もそうですが長袖から出ていた両手もかなり日焼けしてしまい手入れに苦労しているところ、もうこれ以上は焼きたくないと、避けたい気持ちだったもののホテルの予約もしており夫に引きずられるような感じで出かけてきました。

お手伝いのベルミーラおばさんに五匹ネコの世話を依頼して火曜日の朝車を走らせること3時間少し。まずはVila Nova de Foz Coaにある考古学博物館(Museu deArte e Arquiologia do Vale do Coa)に到着です。



2010年夏にオープンした博物館の入り口。景観を損なわないように建物が地上に姿を現さない形で渓谷の斜面を利用して建築されています。



入り口を下へと下りる。


↓建物下のガラス張り面はレストランになります。


レストランでの昼食を長時間待つ羽目になり、岩絵を見に行くツアー出発地がそこから更に20分程の場所にあったので、結局博物館入館は叶わず。ドウロ川上流の景観をカメラに収め、急いで目的地に向かったのでした。


次回は岩絵の紹介です。

インフォメーション
開館時間:10:00-13:30 | 14:00-17:30
閉館:月曜日
所在地:Rua do Museu, 5150-610 Vila nova de foz Côa – Portugal
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