久しぶりにあの全国的展開の古本チェーン店に行った。単行本の階で探したものは先ごろ惜しくも逝去された黒岩比佐子氏の著作と詩歌。黒岩氏のものは残念ながらすでに持っているものしかなかった。一般的には無名といっていい方なので無理もないか。詩歌コーナーでは“ほるぷ”が昭和54年に刊行した「特選 名著復刻全集 近代文学館」のうちの『碧梧桐句集』大須賀乙字選があったので購入。
本物は大正5年の刊行で容易に入手はできないだろう。ネットでみると本物は3万円で売りに出されている。今回の復刻本は600~1500円の間で売られているようだ。すると300円で買ったのはずいぶんとお得ということになろうか。
河東碧梧桐は正岡子規門下の高濱虚子とともに双璧とされている俳人で、もっとも子規を敬愛していたとされる。しかしながら、俳句の世界では虚子の方が、その後の結社経営で才をみせ、今日の俳句界の雄といえる「ホトトギス」を遺した。
しかし、私見だが俳句の改革に情熱を傾けたのはどうも河東碧梧桐のほうである。彼がのちに自由律俳句に行きついたのもその情熱の結果ではと思う。
師である子規は、碧梧桐と虚子について、「虚子は熱き事火の如し、碧梧桐は冷やかなる事氷の如し」と評したという。
NHKの「坂の上の雲」の「子規、逝く!」でもこの両者は出ていたが虚子の出番ばかりだったなぁ。
河東碧梧桐