そらち旅日記 Vol.2

北海道空知総合振興局の職員が集めた旬の情報を、そらちの風に乗せてお届けします。

静寂と前衛と市民文化 ~ ミカサ・モダンアートミュージアム

2011年09月30日 | 空知のアート
閉校になった学校を利用したアートスポットといえば、
美唄市の「アルテピアッツァ」が有名ですが、
三笠市幌内の「ミカサ・モダンアートミュージアム」
また違った雰囲気をもった芸術文化空間です。

平成10年(1998年)3月に閉校した旧幌内中学校の校舎を利用したこの施設は、
三笠市街から三笠鉄道村に向かう途中にあります(ちょっと入り口がわかりづらい)。
道路からは少し入った場所にあり、裏手は森になっていて、あたりは静寂そのもの。






建物自体はなにぶん鉄筋コンクリート造り2階建ての中学校ですから、
ご覧のとおり極めてシンプルで特に芸術的とはいえません。
でも、館内に一歩足を踏み入れると、早くも前衛の香りがします。
まず、石炭でつくられたモニュメントが登場。
これはいったいどういうコンセプトなんだろうとしばし思案…。




いかにも学校らしさを感じさせてくれる1階廊下には、
三笠市出身の各界著名人のパネルが並んでいます。
知っている人、知らない人、あら、この人も三笠出身なのかという人。




その中には、三谷幸喜の舞台やTVドラマなどで活躍している小日向文世さんや、
最近みないけれど一定年齢以上には懐かしい歌手の倉橋ルイ子さんも。




そういえば、三笠市立博物館の前庭に、倉橋ルイ子さんの「幾春別の詩」
(阿木燿子作詞、宇崎竜童作曲/注:時代を感じさせますね)の歌碑があったことを思い出しました。
http://www.sp.hkd.mlit.go.jp/kasen/08isiken/02genba/32ikusyun/sample1.html

廊下の終点には広々とした吹き抜けの階段室があって、
階段をぐるりと囲む回廊は光あふれる展示スペース。




館内を順番に観ていくと、教室や体育館にはモダンアートの展示のほか、
三笠市ゆかりの画家の常設展示やアマチュア写真家の炭鉱をモチーフとした写真など
いろいろなジャンルの作品が展示されています。
劇団の練習室となっている部屋や木工を体験できる工房もあり、
アバンギャルドなアートスペースであるとともに、市民の日常の文化活動拠点でもあるようです。










体育館に作品が展示されていた川俣正さんも三笠市出身です。
http://hokkaidoinprogress.jimdo.com/005-川俣ルーム/

アートミュージアムだけど、アートがつかないミュージアムの部分もありました。
ここに子どもたちがあふれて歓声が響いていたであろう頃の記憶を留めた「思い出の部屋」には、
校旗・校章や校歌、様々な教材や往時の写真などが収蔵されていて、
母校に対する地域の人々の懐古の思いが伝わってきます。




また、校庭の隅には若山牧水の歌碑がありました。




「老いゆきてかへらぬものを父母の老いゆくすがた見守れよ子等  牧水」

歌碑建立の由来については、裏面にあった説明をそのまま引用しましょう。

「 歌人の若山牧水は、大正15年9月より、55日間にわたって
北海道行脚の旅に出た。
  11月8日に幾春別に一泊、翌9日に幌内を訪れて歌会を開催し、
幌内鉱に短歌2首を揮毫した。
 後に、1首を幌内小学校(当時、幌内市街)に贈られた。
 この歌は、牧水の歌集「黒松」に収められている。
                     平成3年10月建立 」

幌内の炭鉱と学校が結ぶモダンアートと牧水とのコラボレーションですね。

(※ ついでにいえば、西桂沢の地域健康増進センターの前にも牧水の歌碑があります。
   碑文は 「 幾山河越えさりゆかば寂しさの果てなん国ぞ今日も旅ゆく  
   大正15年の秋 来桂記念  文豪 若山牧水 作 」  )

ミカサ・モダンアートミュージアムは入館無料ですが、
冬期(10月16日~翌年4月15日)は休館です。
興味のある方はぜひその前に!


ミカサ・モダンアートミュージアム  
三笠市幌内町3丁目58番地
TEL 01267-2-2234
http://www2.city.mikasa.hokkaido.jp/kanko/art.html

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