「ボクセルポリゴンな日々」 - UnityでMakersとVRをつなぐ挑戦 -

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プラスチック粉末積層型最新フルカラー3Dプリンター、登場!

2013年12月03日 17時36分19秒 | 3Dプリンター
Introducing 3D Systems' ProJet® 4500 3D Printer


衝撃的な最新3Dプリンターが登場しました。


フルカラー3D立体出力(最初から色付きで立体出力物が製造できる)が可能な3Dプリンターといえば、

今までZPrinterシリーズ(現在はProjetシリーズ)の独壇場でした。

その方式は、敷き詰められた微細な石膏粉末に接着剤と同時にカラーインクを吹き付け、

インクジェットプリンターの原理で色を付けながら一層ずつ印刷を行い、

一層が終わると印刷面をわずかに下にさげて新しい石膏粉を敷き詰め、再度印刷を繰り返す。

最終的に石膏分に覆われた形で立体物は形成され、粉の中から「発掘」さながらの作業で完成した立体物を取り出します。


しかし、石膏粉を接着剤で固めただけの出力物はとても脆く、

取り出した後「含浸」という工程でシアノアクリレート系有機溶剤(アロンアルファ系の瞬間接着剤の原料)を吸収させることで最低限の強度を持った出力物になります。

それ故に、この最終工程作業には粉の飛沫を処理できて、なおかつ有機溶剤に対する防護が可能な環境での作業が要求されます。

すなわち一般オフィスの中でとか、住居環境の中では出来ない作業なのです。

また、この後工程があるためにZPrinterによるフルカラー3D出力物は普及型の3Dプリンター出力物と比較して割高な費用がかかっていました。



もしこれらの後工程の問題が解決すれば、

フルカラー3Dプリンター出力はもっと手軽になると思っていました。


ところが!

今日その問題を解決した新型フルカラー3Dプリンターが登場したのです。

それがProjet4500シリーズです。

12月3日に行われる3Dプリンター等機器の展示イベント「EuroMold 2013」にて初披露されるとのことです。


このProjey4500は、従来の石膏粉末材料からプラスチック粉末材料に切り替えたことが最大の特徴です。

そして積層時は接着剤で固めるのではなく、デモ映像を見る限りレーザーで溶融積層を行なっています。

このため、上記で説明した「含浸」工程がまるまる不要になっています。

すなわち、後加工でシアノアクリレート系有機溶剤を含浸させて出力物の強度を上げる必要はないのです。


さらに、プラスチック材料である優位性として「出力品の弾性が向上した」があります。

石膏粉末出力品は含浸をかけた後でも壊れやすく、少しのショックで割れたり欠けたりすることがしょっちゅうありました。

しかし今度の新型ではプラスチック材料となったため壊れにくくなっただけでなく、

ボール型のものは床に落とせば跳ね返るといった弾性を持ったものまで作られるようになりました。

これにより、iPhoneケースだとiPhoneを実際に嵌めこむことができる最終製品をこれ1台で作成することが可能です。


これが何を意味するのか?答えは簡単です。

この新型3Dプリンターは、工業製品の試作物を作るためのものではありません。

これ1台で、金型を作らずにカスタムなプラスチック製品を一気に製造できるパフォーマンスを持った工業機械なのです。

例えば家庭用プラスチック製品。

例えば電化製品の本体ケース。

例えば趣味のプラスチック模型のカスタム製造。

そして、例えば完全少数ロットオーダーのフィギュア生産。

おそらく金型1個を発注する値段の2-3倍ちょいの値段でこのフルカラー3Dプリンターを購入すれば、

こうした製品を作っている現場だと、精度が許されるならば直ぐに元が取れてしまいます。

特にフィギュアの生産においては、金型生産に対抗しうる量産価格を叩き出せる可能性があります。

今後は 金型の持つ最大の優位性である「表面の美しさ」で勝負するか、

量産個数を増やして単価が下げれる商品で差別化を図るかのいずれかでの勝負となってきます。


いずれにせよ、2013年の年末に凄いニュースがやってきたものです。

まさに3Dプリンター元年の最後を飾るに相応しい3Dプリンターとなるでしょう。(^^)

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