またしばらく日記の更新が空いてしまいました。(汗)
その間何をやってたのかというと・・・。(汗)
公益財団法人大阪市都市型産業振興センターの運営する、
「ソフト産業プラザイメディオ」に置いて、昨年10月24日に
『3Dプリンター制作 トライアル』という企画の募集が行われました。
(既に募集は終了しております)
そこで、その募集に応募して過去に3Dプリンターで製作した作品をお見せした所
「3Dプリンターでぜひ鉄道模型を出力して欲しい!」との希望がありましたので、
過去に出力したフルカラー3Dプリンター対応の鉄道模型データ「クモハ52003」を
10万円台の廉価版3Dプリンターで出力できるように、
大幅なデータ修正をかけました。
そのデータ修正元となったモデルデータは以下の画像のものです。
この車両、元々京阪神間の元祖新快速(当時は「急電」と言われてました)だったのですが、
戦後阪和線に転身した後、飯田線で1978年まで活躍した車体です。
その基礎データは後の電車特急「こだま」型151系に活かされることになり、
現在の電車時代の基礎を築いた歴史的な車両です。
現物はJR西日本吹田工場と、JR東海の運営する「鉄道・リニア館」に各1両ずつ保存されています。
この車両は2007年からモデリングを行っており、
2008年頃には車体上部のフルカラー3Dプリンターによる出力試作を済ませています。
その作例は2008年10月の「トレインモデリングマニュアル Vol.2」(ホビージャパン社刊)にて早々と紹介されています。
これはZPrinterを使ったホビー向け立体出力例として紹介された最初の例ともなっています。(^^)
とは言え、2008年頃から延々いじり続けてきた3DCGデータなので、
今となっては結構お恥ずかしい作例になっていますが、
その改造過程を紹介していきたいと思います。
まず車体なのですが、ローポリゴンだとせっかくの先頭部分の優美なカーブがカクカクになってしまうため、
元々から分割数を上げてモデリングしていましたが、
それでも立体出力時には面構成が目で見てわかるくらいに出力されてしまっていました。
ところが3DCG画面ではスムーズシェーディングという便利な画像処理方法があるため、なかなか気が付かないのです。
これを徹底的に改善するために、まずは車体データ全体をローポリゴンにすることにしました。
「あれ?アプローチが逆じゃないか。」と思われるかもしれませんが、
これはその後でOpenSubdivというメタセコイアの最新版で装備された自由曲面生成処理を導入するための地ならしなのです。
しかし、従来の自由曲面処理を導入すると、例えば窓まわりを四角く開けたい所が曲面処理のために丸くなってしまいます。
ところが最新版のメタセコイアでは、「ウエイト」という機能があり、自由曲面の設定されたポリゴンや頂点に対し、
「どれだけ自由曲面に追随するか」を示すウエイト値を設定することで窓は四角くすることが出来るようになっています。
上の画像では先頭部の窓部分にのみウエイトを適用してありますが、
ウエイトの設定されていない乗務員扉や側窓が円形になっているに比べてビシッとなっていることがわかります。
このウエイトを適宜設定して新しい車体を作りました。
そしてこの自由曲面のサブディビジョンをフリーズ(=極小ポリゴン化)することで、
立体出力時に外観も手触りも真の曲面の形状を作り出すのです。
以下の画像はフリーズ化した後の形状データです。
ところで、今回立体出力用に使用する3Dプリンターでは、
「出力サイズが120mm×120mmに限定される。」という大きな制約がありました。
このため、全長250mm近くあるこの鉄道模型データでは直接全体を立体出力できません。
そこで今回は車体を、窓配置を考えつつほぼ等間隔な長さになる3分割にしました。
その内の先頭部の試作データがこれです。
実は先頭部分だけは昨年何度か試作させて頂いており、どこが弱いかの検証を既に行っていました。
その時出力したテストショットがイカの画像の出力物です。
左の正面半分のモデルは嵌合性チェックのために出したものですが、
試験的にスマフォケースに貼り付けてみました。(^^;)
こうしてデータを分割した上で、今回はかねてから用意していた床下機器データの立体出力を行うことにしました。
電車モデルでは車体製作もさることながら、床下機器の作成や配置も結構大変です。
幾つかの部品はロストワックスパーツで販売されていますが、それらを揃えるのに結構なお金がかかったり、
揃えても組み付けるのが大変だったりします。
そこで思い切って床下も全て一気に出力できるようにしたのです。
床下機器は資料を見ながらかなり作り込みました。
さらに先頭部の連結器やジャンパー栓と、既に作成されていた台車(DT-13)友組み合わせてみました。
そうして3分割した車体と床下部分が揃いました。
ワイヤーフレーム表示で見ると、そのポリゴン数が恐ろしい数になっていることがわかります。
しかし、立体出力するにあたってはそれらの車体や床下等のデータすべてを調べ、
バッドエッジが残っていないか確認する必要があります。
バッドエッジが残っていた場合はサイドメタセコイアに戻ってその部分のポリゴン接続を調べ、修正をかけます。
図はMaterialize社のフリーソフトウェア「MiniMagics 3.0」です。これを使って様々なアングルからバッドエッジを調べます。
最終的にすべてのデータを調べ、STLファイル化し、本日イメディオさんに向けて発送しました。
総ポリゴン数は123万ポリゴンに達しました。
・・・と思ったら、電車を飾る軌道を出力してもらうのを忘れてました。
慌てて以前作成した軌道モデルをSTLファイルに変換し、チェックを掛けた後発送しました。(^^;)
果たしてどんな電車が出来上がるのか、楽しみです。(^^)
2014年1月31日追記:
書き出しを小修正しました。(汗)
・・・・・
それと、上記の3Dプリンター用鉄道模型データを無償公開することが決定しました。
無償公開についていメディオの所長様から快諾を頂きました。
このデータを元にして3Dプリンターから鉄道模型を安価にゲットしたり、
また鉄道模型データの3Dプリンター出力を通じて3Dプリンターの面白さや特性を知って頂ければと思います。
データの改変も許可します。その際は「本データを基に使用しました」との一文をお加え下さい。
本データ自体はクリエイティブコモンズライセンスの元で公開を致します。
といっても、これから出力確認で、一部修正が必要になると思われます。
あとREADMEを作成しますので、正式公開まで今しばらくお待ち下さい。(^^;)
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