「ボクセルポリゴンな日々」 - UnityでMakersとVRをつなぐ挑戦 -

Unityプログラムで3DCGアセットデータをVRや3Dプリンターで利用可能にする最新技術や関連最新情報を紹介します。

3DCGを生活に取り入れるには・・・。(その2)

2013年02月06日 11時52分13秒 | 3DCG



写真は本日一眼レフで撮影したミクさんフィギュアとハク姉さんフィギュアです。やはりこちらの方がビシっとピントを合わせて撮れます。(^^)


さて、表題は昨日に引き続いてのお話になります。実は昨晩の書きだしではまだ話の内容が不完全燃焼だったので続きを書く事にしました。

昨日ご紹介したアミッドスクリーンの後継であるポリッドスクリーン蚊取り線香の煙スクリーン等々。これらが目指しているものは、


「自分の存在している空間に3DCGキャラクター(この場合は初音ミクさん)を立たせたい!」


という願いの発露から来ている研究に他なりません。

ただし冷静に考えれば上記の方法もスクリーンを介している以上「映像」の域を出ない物ですが、ディラッドボードやアミッドスクリーンは単なるスクリーンではなく背景の空間に自動的に合成して表示される点が画期的なのです。

これは実際にアミッドスクリーンを設置して鑑賞する以外に把握できない感覚なのですが、空間に初音ミクが突如現れるということは「液晶モニタ」という極めて限定した領域にした存在できなかった彼女達の活動エリアを画期的に拡張しているのです。

何よりも「ミクさんと並ぶ事が出来る!」ことが今までの液晶モニタでは絶対に成しえなかった行為なのです。


そして、これこそ3DCG映像で実現できる唯一の「生活空間への干渉」なのです。3DCGに込められた情報がどんなに高度なものであっても、それが液晶モニタで表示される限り単なる「絵」でしかなく、DVDやJPEG画像と何ら変わる所は無いのです。


・・・・・・・・・


私自身長年3DCGコンテンツの普及を信じて主に技術的なアプローチ(例えば3DCGモデルビュワーの機能デザインetc.)を試みてきましたが、現時点に至って得られた結論は


「3DCGである事の利点を一般人が前提知識無しで
"体感"できない限り3DCGはメディアとして認識されない。」



でした。

歴史的に振り返ってみると、音(音楽)は本来発音している人あるいは物(楽器)以外から聞けるようになって初めて蓄音器やレコード等の記録メディアが人々によって認識され、

映像は本来目の前で見られるべきではない場所(映画のスクリーンやTVのブラウン管)で別世界のビジュアルを直接見られるようになって初めて映画およびTVが人々によって認識されてきたのです。


メディアとは人間の五感に訴えるものでなければ認識されず普及もしないのです。


この考え方に基づくと、現状の液晶モニタ+インタフェース(キーボード。マウス。タッチスクリーンetc.)のコンピュータデバイス形態を取る限り3DCGはメディアになりえません。それは結局映画やTVのバリエーションとしてしか一般人には認識できないからです。

現行のAR(拡張現実)にしても、スマフォやタブレットの小さな画面を覗き込まなければ現実世界に3DCGキャラクターの存在を確認できないという形態である限り広く一般人に認識されるには至りません。


その点一目瞭然なのが「3Dプリンター」とその出力物なのです。


人の手で作り出すには困難な微細加工された立体物が目の前にあったり、写真で写したかのような本人モデルのフィギュアがあったりしたら「なんだこれは!?」と皆思います。

それは今までの生活感覚には無かった新しい認識を人々に与えるからです。

しかし3Dプリンターですら3DCGを人々に認識させるにはあと一歩足りません。それは3DCGを直接体感する手段ではないからです。

「3Dプリンターで物を作るには材料として3DCGが必要になる。」というリテラシーとして知る人々がいて初めて3Dプリンターは活用されるのですが、なお人々に3DCGを知らしめる手段が無いのが現状です。

何故なら3DCGは専門的なアプリケーションの奥底に潜んでいるからです。ゲームで見られる3DCGは、現状では条件に合わせて多様に変化する映像でしかありません。

では3DCGを持っていて最大のメリットを人々が享受できる方法は何か?と尋ねられると、冒頭で紹介したように


「自分の存在している空間に3DCGキャラクター(この場合は初音ミクさん)を立たせたい!」


という欲求に応えるサービスおよびデバイスの実現という事になります。

要するに、ある意味で「液晶モニタを壊して、ミクさんを外に連れ出せ!」というミッションを技術的に正しく実践する事に他なりません。

SF小説的に言うとスタートレックのホロデッキを実現する技術が必要なのです。


しかし、既に「ミクパ」※がイベントとして成立している現状を私達は知っています。

故に上の話は現実的に前進させなければならない話です。家電業界も4K8Kと平面解像度を追求するより、空間投影をして等身大の映像を視聴者のすぐ隣に結像させる技術を確立する方がはるかに現実的で利益が大きいです。

今のApple帝国が抑えるiOSデバイスも所詮2次元の情報を扱うための便宜を提供しているに過ぎません。それよりも今3DCGを体験できるデバイスやオペレーティング環境を提案しデファクトスタンダードを握る方が近未来Apple社やMicrosoft社が押さえてきた覇権をあっさり奪える可能性を持つのです。


そして何より、真に3DCGと生活する時代が実現するのです。

そのための研究を今始める事が早すぎるとは私は思いません。(^^)


※「ミクパ」

 「ミクの日感謝祭」に代表される初音ミクを中心にしたライブイベントの略称。始まりは3月9日
 (語呂でミクの日と読める)に開催される初音ミクの大型ライブイベント。バーチャルシンガー
 である初音ミクを現実空間に出現させるために、ディラッドボードという半透明スクリーンに
 3DCGキャラクターの初音ミクを表示し歌や踊りに合わせてBGMを演奏する形式でライブイベントを
 成立させている。
 こう書くと特殊な人向けのイベントと思いきや、米国や台湾などの海外公演も成功している。


追記:

以下はDHCが制作した2050年の未来予想映像です。そこでは3DCG表示と3Dプリントがほぼ同義として描かれています。体験をしてすぐに物として取り出せるのはまさに3DCGの理想とする所です。(^^)

The World in 2050: Customized Lifestyles (Scenario 3)

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